ああ、よく寝た。
日曜の夜の10時に寝て、起きたら8時。10時間爆睡してしまった。
金曜からの三日は恒例の合気道合宿。さすがに疲れた。
行く先は五年連続10回目の神鍋名色高原。
金曜早朝に御影に集合して、播但道を北上。いつものように「いけのや」という不思議なレストランで昼飯。(「不思議」というのは、ここに半年に一度立ち寄るのであるが、そのつどメニューが大改革されているからである。むかしは「出石そば&うどん」専門店だったはずであるが、その後「寿司&天ぷら」中心になり、今回は「カツ&カレー」専門店になっていた。「半年前に食べて美味しかったものをもう一度食べることができない」という点がスリリングである。今回のメニューの中には「ご好評に応えて復活! いけのや定食」というものがあった。私たちと同じようにめくるめくメニューの変遷についていけないリピーター諸君がほかにもいることがこれによって知れるのである。)
午後二時から稽古開始。
島根から長駆ご参加の石井さんを迎えて、粉雪がぱらつく寒さの中で、わいわいと午後六時まで稽古。
第一夜の夕食は「すきやき」。会食者15名とやや寂しい。
宴会でワインなど飲みながら、ごんちゃんの「彼氏ゲット計画」について、ウチダが無数の痛ましい経験をふまえて長いレクチャー。
「砂金が欲しけりゃ、砂を掘れ」というキャッチーなコピーを飯田先生から頂いて、全員深くうなずいているところへ後発隊のカナぴょん、エグッチたちがどどどと来襲して宴席ががぜんにぎやかになる。
二日目は午前七時から朝稽古。午後は昇段審査。
江口、澤の四年生二人が鮮やかな演武で二段に昇段。
二年生7人(岸田、大西、右田、勝又、久保、木葉、森島)が揃って初段となり、栄光の「ザ・ブラックベルツ」入りを果たした。
夜は恒例の「昇段祝い&新旧幹部交代&追いコン」大宴会。総勢25名。
来年度12代幹部は岸田汐主将、大西美穂子副将、右田桃子副将という布陣である。
三人とも今年一年二年生幹部として10周年行事をはじめとする実務を担当してもらっているので、引き続きのお仕事である。よろしくね。
矢部主将、ウッキー副将、一年間ご苦労さまでした。ウッキーは修論執筆という大事業をかかえながら、多くの「縁の下」的実務をこつこつとこなしてもらった。多謝。
そのあと、前年度より恒例化した「ショー形式追いコン」
卒業生たち(江口っち、岡さん、小野寺さん、澤さん、角っち、瀬戸っち、ごんちゃん)が後輩に贈る歌を歌い、二年生が卒業生に返歌で応じ、もう満座涙涙。
そして、「トリ」は、「ザ・シングルベル」のスーパースターたち(ヤベっち、かなぴょん、クー、おいちゃん)による卒業生アイデンティティ・コント。
エグっちの「だじゃれネタ」とごんちゃんの「江口ネタ」はほぼ予想がついたのだが、さすが「裏演劇部」のスターたち。絶妙のやりとりに、観客全員床を転げ回って痙攣的に笑い続け、数分前の涙はどこかへ行ってしまった。
卒業生から今年は「一本歯の下駄」と「携帯のストラップ」を頂いた。
下駄は甲野先生のオススメ・グッズで、「これで山道を駆け下りられたら、キミも達人」のひとことに「達人グッズ」に目のないカナぴょんがただちに購入し、いま合気道関係者のあいだではひそかなブームとなっている逸品である。
甲野先生から「一本歯は膝によい」ということを聞き知って、学生たちが私の身体を気遣ってプレゼントしてくれたのである。(涙)
さっそく履いてみる。身長が15センチ高くなってしまったので、いきなり鴨居に「がちん」と頭をぶつけてコブをつくる。(痛)
携帯のストラップは「LEVINAS」の文字ブロックと「こぐま」人形。
「こぐまのような風貌のレヴィナス」という『愛の現象学』の一節にちなんだプレゼントである。
みなさんどうもありがとう。(ふたたび涙)
さらに宴会は果てしなく続いていたようであるが、ウチダは泣き寝入り。
三日目はもう審査も終わったので、みんな気楽である。
時計を見ながら「ああ、あと少しで終わりだ・・・」と過ぎゆく時間を惜しみつつ、合宿が終わる。
合宿のときはほんとうに時間の経つのが早い。それだけ楽しい。
いくら「合気道部に卒業はない」と言っても、社会人になれば、これまでのように稽古にはこれないし、まして東京に行くごんちゃんやタカスとは、なかなか会うことさえ出来ない。いつまでもいつまでも別れを惜しんでいた。
ほんとうにみんないいやつらである。
帰途はクーと矢部っちを乗せて、三時間ノンストップ説教。
武道の極意は「予知能力」であるという話題になって、予知能力開発プログラムについて、思いつきをしゃべり続ける。
しかし、これはなかなかいけそうである。
こういうものは「私には予知能力がある」と断定するところから始めないといけない。
疑念や否定のプレッシャーの下では潜在能力は開花しないからね。
予知能力といっても、要するに自分の未来に関することである。
例えば、「ある人と数分後に出会うだろう」という未来予測は、そのある人と私がある一点に向かっていま移動中であるということにすぎない。だから、自分自身の行動パターンと、その人の行動パターンを俯瞰して、適正な蓋然性の推理をすれば、50%くらいは予測可能なのである。残りの50%は、その人が発信している「メッセージ」をこちらの受信能力を高めて感じ取ればよいのである。
「気の感応」力を高めてゆけば、予知はけっして原理的にはむずかしいことではない。
だいじなのは、そのような能力は「開発可能である」と断定し、そのための具体的プログラムを整備することである。
そして、その目的は、人間と人間のあいだのコミュニケーション感度を高めて、みんな気持よく暮らしたいね、ということに尽きるのである。
帰宅すると、鈴木晶先生から『メル友交換日記』の校正が届いている。
さっそく通読。
おもしろーい。
冬弓舎の内浦さんによると、これは六月刊行予定。
六月に二冊本が出ることになる。これで、とりあえず今年は三冊。目標まであと四冊。
(2002-03-25 00:00)