3月21日

2002-03-21 jeudi

ゼミの瀧川さんが五月からカナダに留学することになったので、送別会。
みんな当然のようにわが家にどどどとやってくる。
めにうは瀧川さんのリクエストで「餃子、うどん、ぶたしゃぶ」。
こら、楽でえーわ。
料理と言えるのは餃子だけ。あとは材料を切って鍋に放り込むだけである。

ひさしぶりに「内田家秘伝餃子」を作る。
この秘伝は、北京のおばさんは正月にこういうふうに餃子を作るというのを青春を大陸で過ごした父から伝授されたのである。
別に秘伝というほどのこともないのであるが、ニラとキャベツと生姜と豚肉に、塩胡椒、ニョクマム、オイスターソース、胡麻油、トーバンジャン、味噌、鶏ガラスープ、などをどんどん加えて、ポリフォニックな味を構築するのである。
とりあえず味見をする・・・う、うまい!
自分の作る餃子が世界でいちばん美味しい。
だって、自分が食べたいものを自分の好きな味付けで自分がいちばん空腹なタイミングをはかって食べるのであるから、美味しくないわけがない。
鈴木晶先生も日記を拝読する限りでは、ご自身が作る料理が世界でいちばん美味しいと思っておられるようであるが、これをエゴサントリズムとかそういう定型的な批判でくくっていただきたくない。
自分で作る料理が自分の批評性に耐える水準に達するためには、それなりの下積みの努力というものがあるのである。

餃子の下拵えにトントントンとキャベツを刻みながら(やたら切れ味のよい包丁は、西宮警察署からのプレゼント)、果たして日本の仏文学者で、私よりキャベツの刻み方がうまい人が何人いるであろうかと考える。
家を飛び出して一人暮らしを始めて32年。主夫として台所を預かって12年。
いったい何千回キャベツを刻んだであろうか。

とんとんとん。
料理はほんとに楽しい。

学生がどかどかやってきて、ぱくぱくと料理を食べてわいわい笑って帰る。