2月21日

2002-02-21 jeudi

『ミーツ』の塩飽さんからのメールにご返事を書いているうちに、「橋本治共和国」というアイディアが浮かんだので、それについて書く。
日本人全員にアンケートをして「橋本治は賢い」というグループと「柄谷行人は賢い」というグループに二分して、関ヶ原で東西に分けて、国境線を引いてしまうのである。

「柄谷共和国」(それとも「帝国」になるのかも)はもちろんNAM原理が貫徹する共産主義社会である。
『批評空間』とか『群像』とかを定期購読しているひとはそちらに行っていただく。(村上龍や坂本龍一はそっちに行くので、すこし寂しくなる。)

「橋本治共和国」は橋本大先生を「永世大統領」と「魂の導師」にいただく共和国である。
公用語はもちろん「桃尻語」である。
日常会話は簡単だけれど、法律とか大学の授業とかを全部「桃尻語」でやるためには、相応の「桃尻語」運用能力が要求される。
哲学用語なんかもぜんぶ「桃尻語訳」になる。
「他者」なんてダメ。すなおに「となりのひと」である。
「有責性」も意のあるところを汲んで、「いいものあげる」(@渥美マリ)に書き換え。
入試科目は、「和文・桃尻語訳」である。
ま、高校入試くらいは「天声人語」の「桃尻語訳」程度でよろしいが、大学入試になると「マルクス」とか「ニーチェ」とか「フロイト」の訳ができないといけない。(でもね、これはけっこう簡単なの、じつは。偉大な思想家たちはきわめて「肉声」に近い文体で深遠な思想を語ることができる人なのである)
どういう内閣にしようかいま考慮中であるが、とりあえず私は「文部大臣」に立候補しようと思う。なにしろ、「ラカンの桃尻語訳」という先駆的偉業があるんだから。(ないけど)この領域においては、余人の追随を許さないといってよいであろう。

問題は「橋本治? 柄谷行人? それだーれ?」という1億2千万ほどの「難民」たちの処遇だ。
だいいち、肝腎の橋本先生が「共和国? ばっかじゃないの」と言下にこの提案を足蹴にされてしまうであろう。残念である。