2月5日

2002-02-05 mardi

山本画伯の個展が開かれるので、淀屋橋の番画廊まででかける。
私が関西に来た1991年から毎年欠かさず通っている。
個展のオープニング・パーティというのはなかなか楽しい。
絵の前でワインを飲み、チーズやパンを囓りながら、アートな話をするのである。
私はアートな話はぜんぜんだめなので、いつも話題に窮するのであるが、今回は画伯の装幀した本二冊(『ためらいの倫理学』と『レヴィナスと愛の現象学』)も作品の一部として陳列されていたので、私も「コラボレーション」の一員として個展に部分的には参加していることになる。
画伯のパーティのとき「だけ」出会うので、年に一回しか会わないみなさんと久闊を叙し、そのまま画伯の案内で梅田の「亀すし」へ。狭いカウンターに14人がずらりと並んでお寿司をばりばり食べる。
楠本さんご夫妻は画伯が装幀した本のCG部分を担当してくださったデザイナー事務所の方である。この会で毎年会うのだが、ご夫妻とも年々アーティストというよりはアスリート的に純化していておられる。この冬のさなかに黒々と日焼けして、100キロマラソンを走るとどういうふうに苦しいかという話をうれしそうにしてくれる。
オナガさんはバイク事故で肺臓を潰したそうであるが、元気いっぱいでいつものように宴会を仕切っている。
そのオナガさんは、会うなり私をじっと見て、「ウチダ先生、太りすぎです。むかしはかっこよかったんですけどね・・・」と嘆息する。意外な指摘にかたわらの友人に「ほんと?」と訊ねたら、無言でうなずかれてしまった。(えええ! 家に帰って体重を量ったら、なななんと78キロ。私のベスト体重は71キロであるから、7キロオーバーである。いつのまにこんなに肉がついてしまったのかしら。さっそく今日からダイエットだ。)
この宴会は山本浩二画伯の知友の会なのでアートな人たちばかりなのであるが、なぜか全員がラグビー、バスケット、ランニングのアスリートなので、短髪色黒肩幅もりもり系の体育会系OB会の二次会にしか見えない。

ためらいの倫理学