ひょうご講座。三宮の駅の中のビルの4Fというとんでもなく便利なところに、神戸学院大学の「社会人大学院」とならんで生涯学習のための教室が並んでいる。
私の担当クラスの受講生は48人。平均年齢60歳以上。(最高齢は80歳、最年少が22歳)
私の父母のような世代のみなさまに教壇からご進講申し上げるわけである。
こういう方々に「噛んで含める」ようにお聞かせするというのは、なんだか失礼である。そこで、もう「がんがんゆく」ことにする。「抑圧」と「記号の恣意性」が主なテーマ。
最初は「なんだ、この若僧は? 何をしゃべっとるんだ?」という感じであったが、終わり頃は、けっこうみなさん大口をあけて笑いまくっていた。
こういう生涯学習のような場は、思想についての自分の消化度をはかるよい機会である。
市井の好学者たちにご理解頂けないような思弁をこねまわしていてもしかたがない。
今回の試練で、ウチダ的にはだいぶ自信がついた。私のトンデモ話はご老人たちにもご理解頂けたようである。
これ、けっこうたのしい。
これから先の大学は、こういうかたちで開かれて行くことになるし、そうしなければ経営的にも維持が難しいと思うけれど、悪くない試みだと思う。
るんちゃんが8ヶ月ぶりに神戸に帰ってきた。
おっしょに、おでんと鯵の干物を食べる。
「お父さん、ちゃんとご飯食べてるの?」
「食べてるよ、一日、二食は食べてる」
「顔色悪いよ。栄養足りないんじゃないの。マクドとかホカ弁とかですませてるんじゃないの?」
「ジャンクあんまり食べてないよ。ご飯毎日炊いて、納豆と厚揚げ毎日食べてるよ。大丈夫だよ」
来る前に電話で「ハリー・ポッター」のシリーズをもっているかどうか聞いてきた。持ってないと言ったら、一巻読んだけど面白いから続き買ってというので、二巻と三巻を買っておく。夕食がおわったら、そのまま寝室に二冊を持ち込んで消えてしまった。
どうも朝まで読んでいたらしい。
半年ぶりにあったの、「団欒」とか「親子のしみじみ対話」とか、あんまりない。
「何してんの、最近?」という問いに、るんちゃんのお答えは
「寝てる」であった。
「あ、そう。父ちゃんも」
(2001-11-21 00:00)