11月9日

2001-11-09 vendredi

『ミーツ』の原稿の書き直し。
「街場の現代思想」という題だけあって、辛口の「現代思想」的なスパイスも必要、というご注文なのでフーコーの話とラカンの話を付け足す。
ただラカンの「大文字の他者」というような概念はエッセイ一回分に収まるような話ではないので、「さわり」だけ。
でも、こういう場所で、自分が読んできたものの理解度を試されるというのは、とてもよい経験である。
何となくわかりかけているんだけれど、「あ、それはね」というふうには言えないこともある。
深遠な思想家の頭に浮かぶアイディアは、なかなか「平たく言えば」というふうな言い換えがきかない。
簡単に言い換えがきくようなら、そもそも「深遠な思想」とは言えないだろう。
私たちの日常の根源的な問題に深くかかわっているのだけれど、私たちの手持ちの概念には言い換えがきかない。だから、それを理解するためには、私たちの日常的なものの考え方の枠組みそのものを壊し、言葉遣いから変えていかないといけないような思想、それを私たちは「深遠な思想」と呼ぶのである。

芦屋市民病院で月曜のCTの結果を聞く。予想通り、「何でもないです」という結果であった。血管がぐちゃぐちゃ絡み合っているところが「影」になっていて、それが正面から撮ったレントゲンにひっかかっただけでありました。
ちゃんちゃん。

教授会に出て、そのあと石川ゼミ主宰の「ハロウィン仮装パーティ」へ。
私の仮装は「ヤクザなデーク」。魁会の半纏と「江戸一」のダボシャツにコハゼが10個もついている紺の足袋。
ひさしぶりに魁会(さきがけかい)の半纏に袖を通す。これを着てあちこちの神輿を担いで歩いたのはもう25年も前のことである。均坊という実にイナセな兄ちゃんの仕切りで、族上がりのワルや鳶の兄ちゃんたちと面白おかしく遊んだ。
仮装パーティは学生よりも教員の方が圧倒的に過激で、去年に続いて「マダム」に扮たナバエちゃんの迫力が圧倒的。
笑ったのは飯田先生の「サザエさん」。江利チエミのサザエさんよりサザエさんらしかった。
仮装大賞は風邪をおして半ズボンで登場した石川先生の「ゲゲゲの鬼太郎」。去年の「食い倒れ人形」をどう乗り超えるのか期待されていたけれど、満座の期待に応えるすばらしいパフォーマンスだった。
高橋友子先生は二晩かけて縫った「アラブの女」。三杉先生は可愛い「フラッパー」。渡部先生は「アエロスミス」。ウッキーはサザエさんの「お魚くわえたドラネコ」に合わせた「魚屋さん」。ゴムのエプロンまで用意した気合いに脱帽。
初参加の吉本先生は教師たちのあまりのはめのはずしかたの激しさにびっくりしていた。
でも、こういう遊びに一生懸命になる教師たちは、みんなそれぞれの領域でも一生懸命「はめをはずして」いる過激な研究者でもあるんだよね。
すてきな仲間たちと遊べて、実に愉快な一夜でした。写真はたぶんワルモノサイトに掲載されるはずですから、そちらをチェックして下さい。