8月30日

2001-08-30 jeudi

いい気になって飲みすぎたせいで、二日酔い。最後に呑んだ「中国焼酎」がいけなかったようである。
昼近くまで寝て、ふらふらと起き出して新聞を読み、水を飲む。しかし、さすがに肝臓がアセトアルデヒド分解のために活躍中であるので、他の身体部位に血が回らない。
今日は論文を読む仕事があったのであるが、知能指数が5割方落ちているので、頭が使いものにならず、そのまま昼寝。

夕方、ブルーノくんがお迎えに来て、いっしょに Grotte という鍾乳洞へドライブ。数年前に一度訪れたことがあるが、ブザンソン近郊の名所である。越くん、ゆりさん、サトカさん(独協の女子学生さん)と5人でおでかけ。
のんびりとしたブザンソン郊外の田園風景を眺めてぼんやり時間を過ごす。
帰りに越くんのアパルトマンに立ち寄って、パソコンをお借りして、フジイくんに日記を送付する。
越くんはこの PC でご自分のホームページをつくって、ブザンソン便りを日本の知人友人に発信している。PC で日本の TV ニュースを見せてもらう。もう「小泉包囲網」が始まっているそうである。大丈夫かね、こんなことで。
日本のことは台風が3年ぶりに東京を襲ったというニュースを最後に『リベラシオン』には一行も報道されない。
こちらで大きなニュースはジョスパンとシラクの毟り合いと、パレスチナとイスラエルの殺し合いと、Harkis がフランス政府を「人類に対する犯罪」で告訴したことである。アルキというのはなんであるか、私ははじめて知ったが、アルジェリア独立戦争のときにフランス側で戦ったイスラム教徒たちのことである。彼らはアルジェリア独立後、「裏切り者」として数十万が虐殺された。
そのアルキの生き残りのみなさんが、虐殺されると分かっていながら、同盟者を敵地に無防備で捨て去り、フランスへの入国を禁じたフランス政府の不人情を「人類に対する犯罪」で告発しているのである。
フランスの新聞を読んでいると、ほんとうに世界は殺伐としていると思う。
お気楽な「読者の声」なんかで一面を埋めている『朝日新聞』の腰の砕け方がなんとなく懐かしくなる。

いったんホテルにもどって入浴。少しレヴィナス論の手直しをして、夜の 10 時にまた街へ繰り出してブルーノくんたちご一行(『ジュラシック・パーク3』に行かれたのである)と合流。雨のせいで、気温が 20 度以下に下がって、街のカフェ・テラスはどこも店じまい。静かなカフェを探して、モナコを二杯頂く。今日はちょっと控えめ。
独協の女子学生お二人(ユウコ&サトカ)が明日の合気道の稽古に参加することになる。ブザンソンで日本人学生に合気道の講習をするというのも、なんだか不思議な話である。いったい、私はここに何をしにきたのであろう。