6月15日

2001-06-15 vendredi

梅雨時は疲れる。
学生さんも疲れるらしく、大雨が降ると講義の出席者が激減する。
私も学校に行きたくない。
雨が嫌いなわけではない。
雨の日曜なんていうのは好きだ。
一日家にいて、机にむかっていればいいのなら、むしろ雨の日のほうが気持ちいいし、能率も上がる。(そとが青空ピーカンのときに家の中でこりこり本読んでいると「こんなことで、あたら青春を空費していいのだろうか?」という自問が深まるからである。私の「青春」なんてもちろん空費し切ってかけらも残ってないが。それでも、海岸でビーチボーイズ聴きながらピナコラーダ呑んでいる方が人間として正しい生き方ではないかという懐疑がおじさんの胸裡にも去来するわけである。)
今日はひさしぶりの「午前中オフ」の日であるので、くーすか9時まで寝る。
そとは雨。
今週も週末がない。土日「出勤」である。(先週もなかったし、先々週もなかったし、その前の週もなかったし、その前の週も、その前の週も・・・思えば、5月6日が私の「最後の日曜日」であった。)
いったいいつになったら明窓浄机に端座してほっこり渋茶を啜りながらこりこりと原稿を書く日が訪れるのであろう。
そんなスケジュールを組んだバカは私自身であるから誰を怨むこともできないが、それにしてもどうして「やりたいこと」を後回しにして、「どうでもいいこと」から片づけるように人間は仕事のスケジュールを組むのであろう。
結果的に私は「どうでもいいこと」を片づけるだけで一日の過半を費やしていて、「やりたいこと」にたどりつく前に息絶えている。このままゆくと「どうでもいいこと」を片づけるだけで一生の過半を費やし、「やりたいこと」にたどりついたときは寿命が尽きているということにはならないのだろうか。オーマイガ。

日曜の夜は兄上さまと甥のユータが神戸にやってくる。
兄上さまもまた激務多忙の人であり、その心痛の深さは私の想像の及ぶところではない。その心労を聊かなりとも癒すべき一夕の清談と「ユータにガツンと言ってやってよ」を求めて長駆神戸までご来駕されるのである。
いうなれば「説教旅行」である。
そういえば、昨日、キャンパスで能楽部の学生さんが「先生、こんど先生の研究室に行っていいですか?」と訊ねてきた。
「いいけど、なんで?」
「説教してください!」
そんなこと、急に言われても。ねえ。