こんどは風邪をひきかけている。
まったく「蒲柳の質」とは私のことである。
過去の日記を繙いても、ほぼ毎月のように「歯が痛い」とか「熱がある」とか「具合が悪い」とか「疲れて死にそう」とか泣き言が書いてある。
私の身体は自己治癒力が高く「トカゲの肉体」と呼ばれており、また私の精神にはある種の反省機能が欠如しているせいで「ワニの無意識」と忌み嫌われているわけであるが、考えてみたら、「拒食症のアナコンダ」「食欲不振のワニ」「不眠症のティラノザウルス」などというものだって存在しうるわけである。げほげほ。
「病身の爬虫類」。
微熱があって、喉が痛い。でも、仕事を休むほどには悪くない。こういうのがいちばん厄介である。
熱が38度もあれば、「もー、わし、しらんけんね」と原生動物に退行して、すべてを棄ててマンガ本を友に遁世することもできるのであるが、この程度であると、「ふつうの社会人」のふりをしながらふらふらしないといけない。
昨日は杖のお稽古はお休みしたが、結局家で深更まで「必殺文部科学省提出書類書き」をしていたので、疲労感はあまり変わらない。でもまあ、懸案の仕事がひとつ片づいたのでよしとしよう。
ということは、今日からは「必殺レヴィナス論書き書き週間」というものが始まる、ということである。
私がぼけっとしれいるうちに、世界のレヴィナス研究者たちは続々と研究書を出版しており、この一月だけで 12 冊ほど英語のレヴィナス研究が届いた。
えー。これ全部読まないといけないの?
まあ、アメリカの研究書は「最初の 10 頁で自分のオリジナルな意見が何であるかをはっきり書く」というありがたいルールがあるので、大急ぎでやれば、2時間くらいで 12 冊のうちどれが最後まで読むべきで、どれが読まなくていいかの判定はできる。
フランス語の研究書だとそうはいかない。いったい、著者は何が言いたいのか、最後の最後まで分からず、最後まで読んでも分からない、ということが頻発するからである。
でも今読んでいるレヴィナス論 (Marc-Alain Ouakni, Meditations erotiques) も2頁ずつ断章がずらずら並んでいるだけで、序論も結論もありゃしない。(面白いことは面白いんだけど)
日本語の研究書の場合は・・・ま、角が立つからやめておこう。
いま書きかけの第三章『愛の現象学』(いい題名である、私は論文の章題をつけるのが特技であり、趣味なのである。)のエロス論は、最近、何となく論理の隘路が見えてきた。
あ、熱がでて、眼がうるんできた。もう一こま片づけて、うち帰って「カコナール」呑んで寝よう。
(2001-05-31 00:00)