5月18日

2001-05-18 vendredi

文部科学省へ二度目の協議のため日帰り出張。
申請書類の難点がいろいろと指摘される。とくに私が「このへん、ちょっと詰めが甘いかな」と思っていたところがやはり「情報が足りない」と指摘される。6月の最終提出期限までにもう一度書き直しをしないといけない。ううう。
ただでさえ忙しいのに、どんどん仕事が増えて行く。今日はひさしぶりのオフであったが、まる一日この書類書きで潰れそうである。

それに加えて四日前から自宅のインターネットが接続しなくなってしまった。
NTT のサービスにやっとつながったので訊いてみたが、ISDN に故障はないので、あとは自分で調べて直せという冷たいご返事であった。
その前までふつうに動いていたインターネットがいきなり「ぶちっ」と切れたわけだから、どこかにトラブルがあるのに違いない。だが、私には原因も修理法ももちろんまるで見当がつかない。ディスプレイの前で呆然自失するばかりである。
大学の研究室のマシンが故障したときは出入りの PC 屋さんに電話して「直して」と言えばすむのであるが、自宅にまでは来てくれない。
どうして「インターネット 110 番」みたいな出張サービスがないのだろう?
JAF とか水漏れなんかだと 24 時間いつでも電話一本で来てくれるサービス会社があるんだから、PC の不調も電話一本で来てくれるサービス会社があれば、どれほどありがたいことか。
ああめんどくさい。
ISDN の設定のときも、そういえばずいぶん手こずった覚えがある。アダプターを取り付けてからインターネットに接続するまで、ジロー先生にお手伝い願って、それでも1週間くらい悪戦苦闘した。
こういうのは私にとって純粋な苦役である。
悪戦苦闘の末に接続が出来て、そうやって少しずつおのがコンピュータ・リテラシーの充実に喜びを感じるという人もいるが、私の場合は、どれほど苦労しても、次の瞬間にはどうやってそこまで到達したのかほとんど手順を忘れているので、リテラシーの向上ということは決して起こらない。
もう面倒だから、ISDN ごと PC を棄てて、インターネット常時接続の新しい PC に乗り換えようかしら。
業者が、家まで来て、配線からインターネット接続まで全部やってくれて、アフターケアもばっちり、というような TVCM をやっていた。
私は文字通り「垂涎」の表情でその CM を眺めていた。
そう、私は「運転手付きの自動車」に乗るようにして PC とつきあいたいのである。
洗車したり、ガソリン入れたり、タイヤのパンク直したりする「汚れ仕事」はぜんぶ運転手にやらせて、自分は手を汚さずに行きたいところへ行って、やりたい仕事をしたいのである。
それではいかん、ということを言う人がいる。
PC を利用する、という以上、「技術的コスト」は身銭を切って支払うべきだ、というのである。自分で汗を流し、涙を流して、はじめて PC を利用する喜びを人は知るのである、と。
私はぜんぜんそういうふうに思わない。
そんなのは「原稿用紙に鉛筆で字を書きたい人間」にむかって「製紙の基礎技術と、鉛筆製造法を一通り習得してこい」といっているのと同じことだと私は思う。
PC は大変便利な、「ただの電気器具」である。
私は「電気器具」を便利に使いたいだけである。「電気のしくみ」なんかどうでもいい。
どうして、私のようなボンクラで怠惰な消費者のこの切なる気持をメーカーさんや流通業者さんや小売店さんは分かってくれないのか。
「電話一本であらゆる技術的トラブルをぜんぶ解決しますサービス3年間付き」PC というものを誰かが売ってくれたら、私はいくらでも金を出す。

というわけで、このホームページをご覧の皆さんでウチダの貧しい PC ライフを哀れと思し召して、私に代わってマシンを選んで、配線して、インターネット常時接続の設定して、「はい、どうぞ」までやってくれる人、急募。バイト代5万! 私は本気だ。
フジイくん、どーかね。有給取って神戸に来て、ウチダの PC ライフを再建するというのは、新幹線代は別に出すぞ!