るんちゃんが「はい、プレゼント」と言って、ふるいアルバムを渡してくれた。
おお、これは。私の子供時代のアルバムである。
どうしたの?と訊いたら、東京のエックスワイフのところから持たされたのだそうである。
離婚のときに、相手の写真をアルバムからぜんぶ剥がして棄ててしまった、というのは聞いたことがあるけれど、別れた夫の子供時代のアルバムをこっそり持っていってしまうとは、変わったご婦人である。
アルバムがなくなったらさぞや私が悲しむだろうざまみろと思ってやったのか、それとも「あのバカ男も小さいころはけっこうかわいかったのね、ふん」と時々思い出して眺める愉しみとかがあったのか、そのへんの事情は分からないし、分かりたくもないが、私は自分の10歳くらいから22歳までの写真全部を貼っておいたこのアルバムがなくなっていることに過去12年間気がつかなかった。
私がまったく「過去を振り返らない男」であることがよく分かるね。
しかし、あらためて十数年ぶりにアルバムを眺めてみたら、なんとなく「じーん」としてしまった。
だって、こどもなんだもん。
16歳の頃、自分ではもう「おとな」になったつもりで、こりこりマルクスとかサドとか吉本とか読んでいたのであるが、写真を見たら、まるで「こども」である。
高校一年生のときの学生証の写真と大学一年生のときの学生証の写真が並べて貼ってあって、「この四年間の風雪が少年の容貌をここまで変えてしまった」とことごとしいキャプションが書いてあったが、50男となった私から見ると、16歳のウチダくんは「かわいいこども」で、19歳のウチダくんは「ひねくれたこども」という程度の違いしかない。
せっかくスキャナーを購入したので、このアルバムの「子供時代のウチダの写真」をスキャンして、みなさんにお目にかけようと思う。
さっそく「フォト・デラックス」というソフトをインストールした。これで写真を読み込んでと・・・おお、読み込めた。拡大とかもできるのね。
それを「アルバム」にファイルして、と・・・
よし、できた。これをフジイ君のところに送りつけて、「新たに『非日常写真館』というものをつくることにしたから、よろしくね」とメールを書けばおしまいだ。
このアルバムには、私の子供時代の写真ばかりでなく、バカ不良高校生時代の貴重なポートレートや、これはびっくりガールフレンドとのツーショットや、これってまるで1970年代じゃん(現にそうなのであるが)的な「ロングヘアー、ベルボトムジーン、コットンキャップ、サングラス、皮サンダル」で決めたバカ大学生たち(伊藤君や澤田君や浜田君やいまは亡き久保山君とか)が一堂に会している貴重映像などもある。
みているうちに思わず落涙。
しかし感傷にふけっている暇はない。
さあ、諸君、「非日常写真館」第一弾は「あのときぼくは12歳」である。
わが兄、徹くんの14歳とのほほえましいツーショットもあるぞ。
とりあえず、前口上だけ、先にアップしておくことにする。
フジイ君、というわけだからなるべくはやくアップロードしてね。よろしくね。
(2001-02-19 00:00)