土曜は杖道の稽古納め。
鬼木先生宅での納会に20名近くが雪崩れ込む。
私の主たる目的は鬼木家の二人の娘と遊ぶことである。
うちの娘はもう大きいので、だっこしたり頬ずりしたりすると「ぐー」で殴られかねない。しかし、定期的に「ふにゃふにゃしたもの」を抱きしめたくなるのは人間のサガというものである。
鬼木家の長女アキノちゃんは、幼児期に私が「ふふふ、私がパパだよ。顔がちょっと違うけどね、今日から私が君のパパなの」と死ぬほど脅かしたせいで、私の顔を見ると号泣するようになってしまった。もう記憶は薄らいだかと思うのだが、よほどトラウマが強かったらしく、私の顔を見ると「なんとなく直観的に怪しいやつ」という懐疑のマナザシを向けて近づいてこない。
次女ハルカちゃんはまだ9ヶ月、「ふにゃふにゃ」の絶頂期である。膝にのせて、いっしょにケンタッキーのフライドポテトを食べているうちに、くーすか眠ってしまった。
なんてかわいいんだ。このままさらってしまおうかしら、と思うほどである。
しかし「寝る子は重い」ということわざどおり、両足がしびれてきたので、別れを惜しみつつ、母にパス。
飯田先生に「はやく子どもを生みなさい」とよけいなお世話なことを言う。「育児は私が手伝ってあげるから。」
言ってみてから、おお、これはよい考えだ。
私の周囲には「結婚はしたくないが、子どもは欲しい、でも一人で育児はたいへん・・・」という独身女性が少なくない。
そして、私は「誰の子であれ、ふにゃふにゃしたものをかわいがりたい」という男である。
ここに需給関係の一致というものが成立するのではあるまいか。
かの女性たちが次々と子どもを産んできて、「ウチダさん、お願いね」と私にパスして、仕事にでかけ。私がエプロン姿もかいがいしく、子どもたちにミルクをやり、おむつを替え、いっしょに「おかあさんといっしょ」を見たり、お昼寝したりして、4歳になったら合気道と杖道を教えるのである。ご要望があればフランス語だって教えてもいい。
国際的知性を育てる武道系託児所。すばらしい。
私自身の仕事はどうなるのか、という根本的難点はあるが、不肖ウチダとしてはぜひ独身主義の女性諸君の育児のお手伝いをさせていただきたいと、かように思うのであります。
(2000-12-17 00:00)