11月30日

2000-11-30 jeudi

竹信君が遠方より来る。
竹信君は灘校出身で、自他共に認める「女学院フリーク」である。
毎年、バザーになると東京から600キロを遠しとせずに通ってきて、岡田山の初夏を満喫しないと一年が始まらないというありがたいお方である。
今回は平井先生の仕切の「Tale of Murasaki」の取材とか、吉本興業とのビジネスとか、私との原稿チェックとか、いろいろ多方面の仕事をかかえてのおいでである。
短い滞在であるが、御影のわがやにお越し願って、一夕清談を愉しむ。
竹信君はお酒を嗜まないのであるが、私がどんどん酔眼朦朧となって言うことがでたらめになってゆくのにつれて、夫子ご自身もどんどんでたらめになってゆくという特技の持ち主である。学生時代の仲間たちで呑んで、みんなどろどろに酔っているときいちばん大笑いしているのはウーロン茶だけでもりあがっている竹信兄である。
今回は、私たちを蝕む「トラウマ」の深さについて語り合う。
私たちはともに「非情」な人間であると言われているが、それは幼児期の精神外傷によるのであり、私たちだってもっと「温順」な人間に育って、ひとから「ほんとに、人柄のよいひとですね」というようなことを一生に一度くらいは言われてみたいものである。
人が困っているときに言うに事欠いて「話はきかんが、金なら貸すぞ」というのはあまりにもリアルかつクールではないかと反省もするのであるが、こういう性分はなおらんのよね。