ゼミの面接が始まる。
私のゼミは「表象文化一般」であるので、文学、映画、マンガ、舞踊、写真、身体技法、などさまざまなことに関心をもつひとが集まってくる。
定員は12名であるが、面接にはずいぶん大勢くる。
その中にはかなり「変わった人」がいる。
平準値からかなりはずれた人を「検出」するのが面接の主たる役目である。
「平均からはずれた」人を排除するためではない。逆である。
うちのゼミでは「変わったひと」を優先的にとるようにしている。
別に、それがゼミとして正しいあり方であるから、とか堂々たる理由があるわけではない。
単に、「変わったひと」がたくさんいると、私が面白いからである。
私のよく知らない世界をフィールドとしている人からは学ぶことが多い。
うちのゼミは学生さんの研究発表をきいて、みんなで「あれこれ」と半畳を入れる、という形態である。
指導教員はただぽやっとお話を聞き、アンテナのよい学生さんから新知識を仕込み、蒙を啓いてもらい、あまつさえ、お給料までいただくのである。なんと、ありがたい仕事であろうか。
しかし、人間、欲にはきりがないもので、こうなると「私の知ってる話はしちゃだめだかんね。私の知らない話で、面白い話をしなさい」というふうにだんだん贅沢になってくる。
というわけなので、ゼミ生のみなさんは毎度「新ネタ」の仕込みに忙しい。
今日までの面接を徴するかぎり、来年のゼミ生も相当「変わった人たち」が期待できそうである。楽しみだ。
「盆栽と讃岐うどん」に深い関心をよせるという方が今回の「ベストかわりもん」である。盆栽もうどんも一度として私の知的探求の対象となったことのないオブジェである。こういう「盲点」を衝かれると私は弱い。うちのゼミに来てくれるだろうか。
女優、ダンサー、ミュージシャンも何人も面接に来てくれた。芸能ネタでわいわい盛り上がっているうちに、なんだか、芸能プロの面接をしているあくどいマネージャーの気分になってしまったが、もしかすると総文2年生の「芸能系」のひと全員が集まったのかもしれない。
この学生さんたちをグループにしたら、「神戸女学院娘。」がデビューできそうである。
いや、これは意外といけるかもしれない。まじめな話。(まじめになるなよ)
(2000-10-26 00:00)