9月10日

2000-09-10 dimanche

壮絶な二日酔いで午後四時半まで倒れている。
昨日は飯田先生のお引っ越し祝いに夙川の新居をるんちゃんとともにお訪ねしたのである。美味しいご飯をいただき、『エースをねらえ』についてながながと「あらすじ解説」をしたり、「離婚すると、人を愛する能力に構造的な欠如が生じる」という深刻なお話を飯田先生と「そーよ、そーよ」とうなずきあったり、いろいろラディカルな議論を院生諸君とかわしていた記憶はあるのだが、どうも日本酒とシャンペンの取り合わせが悪かったのか、ひどいことになっている。
だいたい酔っぱらうと人間は適正な判断力というものを失い、「このへんでお酒をやめておこうかな」という素面であれば誰にでもできるはずの判断というものができなくなる。「ああ、酔ってしまった。ははは、もっと飲もう」というふうに坂道を転げ落ちるような飲み方をしてしまうので、その結果、「お酒をたくさん飲むと、お酒をさらにたくさん飲むようになる」というポジティヴ・フィードバック現象がここに生じるわけである。
まったく困ったものである。
こういうときには「汁気が多くて、塩味のものを大量に嚥下したい」という欲求が生じる。伊丹十三によると、二日酔いのときにいちばん美味しいのは「韓国料理の冷麺」だそうである。よく分かるが、食べに行くのがおおごとだし、自分で作るような意欲はさらにない。
しかたがないので、「お茶漬け」をどんぶり二杯食べる。これはお湯をわかすだけですむので簡単である。茄子の漬け物をおかずに午後の海の輝きにくらくらしながら、お茶漬けをさらさら食べる。なんとなく幸せな気分になり、そのままずるずるとベッドに這い戻る。
今日は謡のお稽古をし、舞囃子のおさらいをし、それから文部省に出す博士課程の原案の策定をする、といういろいろの非学問的なお仕事があったのであるが、何しろ、起きあがることもままならぬ。
汗をかいて気持悪いので、シーツを換えて、ついでにシャワーを浴びたついでにこれを書いているのであるが、書いているうちにまた眠気が襲ってきた。また寝ちゃお。
ああ、なんてすてきな日曜日。