4月17日

2000-04-17 lundi

日曜は多田塾研修会で東京日帰り。
行きも帰りも新幹線車内でみじろぎもせず爆睡。そらそうだわ。
土曜日が昼から2時半まで合気道、3時半から5時まで杖道、6時半から8時まで仕舞のお稽古。そして日曜が午後2時から5時半まで合気道の研修会だもの。二日間にお稽古のべ時間が9時間。「若山爆睡」というようなしょーもないだじゃれが出てくるのもご海容願いたい。
お、駄洒落で思い出したが、「500ラカン」という駄洒落について先日、あるひとからコピーライトの確認を求められた。そのひとが言ったのが最初であるというのである。
「駄洒落のコピーライト」というのは初耳であった。
「電話急げ」とか「空き地に囲いができたってね、かっこいー」とか「はるまけ、どん」とかいうのも誰かがコピーライトをもっているのかもしれない。
しかし「駄洒落のコピーライト」という発想自体があまり「洒落んなってない」と私は思うぞ。
ともあれ「若山爆睡」しつつ東京大阪を行き来していると、「コールドスリープ」状態で、あっというまに1000キロ往復。ときどき薄目を開けて鈴木晶先生から送ってもらった『「精神分析入門」を読む』を読み、それを読み終わったので、漱石の「現代日本の開化」を読む。驚いたことに、鈴木晶先生と漱石先生は文体が酷似していた。どちらも「一般聴衆をあいてにした講演」から起こしたテクストだからかもしれないが、「噛んで含めるように」過激なことを言っていた。

研修会は爽やかな風の吹き抜ける本部道場に70名ほどの同門諸君が集まる。
呼吸法、足捌き、短刀取り、太刀取り、杖(一の杖、二の杖、和歌山の杖)とみっちりメニューをこなして、汗びっしょり。
稽古のあと多田先生にいろいろとご相談ごとがあり、ずいぶんお時間をとらせてしまった。そのまま先生のタクシーに便乗して大久保駅までご一緒する。駅のホームでにこにこ手を振る先生と坪井さんに最敬礼して楽しい一日が終わった。
今回も、山田、坪井両先輩に次いで、私が古手の三番目である。
しかし、けっこう身体の切れはいい。最近、だんだん切れがよくなってきた。
鬼木先生に膝の使い方、体軸の感じ方を厳しく注意されたのと、下川先生に腕の使い方、腰の据え方を仕込まれている成果がようやく出てきたのかも知れない。
三、四段のころより身体が軽く感じられる。とくに腕が柔らかく遣えるようになった。
80歳までは武道の修行は「うまくなる一方である」と昔先輩に言われた。このままあと30年進化を続けると、私も念願の「達人」というものになれるかもしれない。「達人」になると、その身体感覚はどのようになるのであろうか。わくわく。

鈴木晶先生お薦めの伊藤昇『スーパーボディを読む』。
おお、これは。おもしろい。
私が「そうじゃないかなあ」と思っていたことが「断言」してある。
「股関節でとらえる」というのが体感的にはいまいち分からないが、腕の使い方については、この間、私がいろいろ模索していることは正しかったようである。
さっそく鬼木先生にお見せしなくては。

大学時代のおともだちの松本順一君から愉快な葉書が届いた。
ちょっとご紹介しましょう。

「拝啓
年々歳々相似たる花々の咲きつどう季節を迎え、皆様にはますます御清祥のこととお慶び申しあげます。
さて私儀、千年紀末に知命の歳を得たことを契機に、本年三月末をもちまして、足かけ20年近くお世話になりました駿台予備校古文科講師の職を辞し、脱サラ以来四半世紀におよぶ塾・予備校教師の仕事から足を洗うことにしました。
今後は長らく教壇から見下ろしてきた「浪人」席に身を移し、両三年ばかりは「高等遊民」を気取りつつ、メール・ネットをはじめとする新知識のインプットにつとめながら新旧両世紀の去来を眺めてみたいと思っております。云々
追伸:当面するところ、経済的問題はかかえておりません。また、宗教的な結社その他の団体に加入する予定もありません。(四国遍路の旅に挑戦したいとは思っていますが)その点はどうかご心配なく。
葉桜や 風にふかれて 千年紀」

洒落た人ですね。