極楽スキーの会恒例の野沢温泉スキー旅行もぶじに終わりました。
思えば、斑尾スキー場に鎌田先生から「内田さん、スキーやるなら来ない?」とお招き頂いたのがいまから9年前、その後、鎌田先生から幹事役を継承して、7シーズン。
「シーハイルの会」というその名もジャーマン・テイストな、ひたすら技術的向上をめざす禁欲的なスキー愛好者たちの団体を「極楽スキーの会」というその名もプレジャー・オリエンテッドでへなちょこな組織に改変し、温泉と宴会を主軸とする犯罪的な右傾化路線をひた走り、ついに紀元2000年を期して「シルバースキー道」なるブルジョワ的綱領を党内「シュナイダー左派」の切り捨てという暴挙をつうじて強行採決したのはこの私です。
その「シルバースキー道」綱領の主旨は、「やまびこ高速フォーリフト」や「長坂ゴンドラリフト」内での学習会を通じていまや徹底周知されつつあるわけですが、今回「心得」と題して、その思想的骨格がほぼ整備されたので、それをお伝えしたいと思います。
シルバー・スキー道心得は
ひとつ、「三十過ぎたらシルバースキー」
ひとつ、「向上心を持たない」
ひとつ、「上級者の甘言に乗らない」
ひとつ、「技術は道具でカバーする」
の法四章に集約されることになりました。
特に「向上心」こそは極楽スキーヤーにとって天敵とでもいうべきイデオロギー的偏向です。私たちはブルジョワ的な快楽を守り抜くためにも断固として、技術的向上心が心の隅に忍び込む危険に敏感でなくてはなりません。
「立てば這え、這えば歩めの親心」と申しますが、「ボーゲンが出来れば、次はクリスチャニア、シュテムができれば次はパラレル」、あるいは「やまびこが滑れればスカイライン、スカイラインが滑れれば次は牛首、シュナイダー」と欲望には際限がありません。この極左冒険主義への逸脱によってかつて不肖内田はスキーを折り、手首を斬り、ズボンを裂き、サングラスを割り、それと同時に、多くの知友からの信頼と愛を失ったのであります。
この「いつかきた道」を若いひとたちには二度とたどってほしくないという先人の苦い思いが、シルバースキー綱領にはこめられているのです。
しかし、この痛苦な反省をふみにじるような仕方で、U野先生を核とした「極左冒険主義的ケルン」が着々と形成されつつあることは会の今後に暗雲をなげかけているといわなくてはなりません。いまでこそ「やまびこ」に四苦八苦するU野先生ですが、その技術的向上心は目に余るものがあり、いずれシュテム・クリスチャニアを体得した暁には「シュナイダー制覇」を呼号して、党内反対派フラクションの形成に走ることは火を見るより明らかであります。
このシーズンオフには念願の「カーヴィング」の購入に踏み切る決意も熱いU野先生の暴走をとどめることができるでしょうか。
極楽スキーの会の主流派(穏健派)と反主流派(過激派)の覇権闘争はいま始まったところです。来年のレポートを心して待て。
(2000-03-12 00:00)