紀伊国屋書店の人が来て、大学をめぐる状況についてレクチャーしてくれた。だいたい、分かっている話であるが、民間企業の人から「変化をおそれる組織は滅びます」ときっぱり断言されると、少しぞくぞくしてくる。
そのときに99年の出生数を質問されて誰も答えられなかった。(107万人だそうである。)
あと18年後の大学にとってのマーケットの大きさは今の段階ではっきりと分かっているわけである。(18年後のクライアント総数が分かっているなんていう業種はほかにないだろう。)
にもかかわらず、当の大学人がそんな基礎的なデータさえ把握していないで将来構想を議論しているということは、たしかに非常に恥ずかしいことである。
深く反省してしまった。
しかし、なぜ私たちは新生児の出生数というようなデータに鈍感であるのか。
しばらく考えているうちにその理由が分かった。うちの大学の教職員の過半数が「独身」であり、結婚していても子供がいないカップルが多いからである。
これはよく考えると変な話である。
かなり変な話である。
大学のクライアントは「こども」である。
にもかかわらず当の大学の教職員が「こどもの供給」にぜんぜん協力的でないのである。
いや、当人どころか学生に向かって「結婚するな」「こどもを産むな」というような思想を喧伝している教員さえいる。(現に私がそうであった。今は違うけど)
「結婚しないし、こどももうまない人たちがやっている大学」
これって、ユダヤ教徒の「ぶた饅屋」とか、日本野鳥の会直営焼鳥屋とか、禁酒連盟経営の居酒屋チェーンとかと同じような自家撞着を来してはいないか。
自分の商売そのものの成立基盤を本人が否定しているのである。
これ、まずいですよ。やっぱり。
ぶた饅屋をやる以上はユダヤ教から改宗したほうがいいし、ユダヤ教徒であり続けたいのならぶた饅屋以外の商売のほうがいいと私は思う。
(2000-02-10 02:00)