30 Dec

1999-12-30 jeudi

あけましておめでとうございます。
みなさまにとって佳き一年でありますよう、お祈り致します。
さて、ひさしぶりにインデックスを更新いたしましょう。

12月30日(木)
昨日はひさしぶりの「まるオフ」の日だったので、三宮にお買い物に出かける。
コートを買う予定で大丸に行って、かねてから目を付けていたダンヒルのコートを探しに行ったら、もうなかった。他のコートは17万円とかそういう値段なのでパス。隣のアカスキュータムのコートもなかなかよいのだが、これも19万円とかいうので泣く泣くパス。
ぐるぐる回っていたら「パチモノ」のバーバリー(サンヨーだかオンワードだかがライセンス生産しているやつね)が安かったので、それを買う。7万円也。
暮れだが街には人が少ない。
ソニア・リキエル・オムの黒いセーターを買おうかなと試着したら、なんだかなよなよしたラインで気持悪いのでやめる。私はながねんの修業のせいで胸廻りが厚いので、フィットするものをきると「むちむち」した感じになって見た目気持が悪い。
帰りにセンター街でセールスのプルオーヴァー(¥3.980)と靴(¥12.000)を買う。靴は黒のスリップオン。安い靴だけれど、これがいちばん使いやすい。
靴を買って喜んでいたら、それまで履いていた靴(黒のスエード・ブーツ)の底がにわかにばりばりと剥がれた。脱いでみると完全に崩壊している。靴を買う瞬間まできちんと機能して、買ったとたんに壊れたのである。ああ、なんという「律儀な」靴であろうか。ブーツに合掌して、靴を履き替える。

街に出たついでで、本屋に立ち寄る。駸々堂に行って映画のコーナーに『映画は死んだ』が置かれていることを確認する。ここではベンヤミンの『複製技術時代の芸術』に両隣をはさまれておりました。
それから正月「おこたごろごろ本」をあつらえる。藤沢修平『用心棒日月抄』の続きとロバート・B・パーカーの『晩秋』。その他、「おこた用」に準備してあるのは、司馬遼太郎『翔ぶが如く』、村上龍『フィジカル・インテンシティII』。
「あまり大した本読んでないね」
とあなた今思いましたね。
それは間違いです。
私はそれ以外の時間はコリン・デイヴィスの『レヴィナス入門』を訳していて、いまは第一章「現象学」というところなので、フッサールの『デカルト的省察』を傍らに置きつつ、訳語の統一を試みているのであります。

「必当然的明証の特性とは、その必当然的明証においては、その明証において明証的に与えられた事実あるいは事態の存在が、単に一般に確実であるだけでなく、同時に批判的反省によって、そのような事実あるいは事態が存在しないということは絶対に考えられないものとしてあらわになる、ということ、したがって、必当然的明証は、およそ考え得るあらゆる疑いを根拠のないものとしてあらかじめ排除する、ということである。」

ふむふむなるほど、apodictic は「必当然的」と訳すのね、などとうなずきつつ「フランス人の哲学者がドイツ人の哲学者について述べたことを英語で解説したテクストを日本語にしている」わけですよ。お茶の時間には藤沢周平が読みたくなるのもわかるでしょ。

それにしても映画コーナーのハイテンションは目を見張るものがある。完全にそのコーナーだけが他から「浮いている」。音楽や写真のコーナーもそれなりに品揃えがいいのだが、映画のコーナーはなんだか凄いことになっていた。映画について書いた本てこんなに出ているのか、とびっくり。読みたい本、あまり手に取る気がしない本、学術書、タレント本、それらがごちゃごちゃ同居している。このブレードランナー的カオスは領域そのものの持つ活気を感じさせる。
うーむ、わしもこうしてはおれんのう、とやや上気しつつ御影に戻り、明日の「関西在住東京出身仏文学者友の会」の仕込みの買い物をする。毎年だいたい同じメニュー。「南仏風」。要するにパスタとサラダとパンとチーズでワインをごくごく呑むというお手軽コースである。
家に戻って「中華丼」を作ってぱくぱく食べる。材料はすべて「残り物」。われながら美味しい。この、もやしの火の通り方がなんとも微妙である。火を通しすぎるとへたったしまうし、通しがたりないと生だし。そのぎりぎりのところで「パリっと」した食感があって、かつ火が通っていて旨味が出ているというのが中華丼のもやしの正しいあり方なのであるが、今日のもやしはうまい。ぱくぱく。

そのままずるずるとこたつに移動してバカ本を読みつつ、ケーブル・テレビで『ダイハード3』を観る。ジェレミー・アイアンズはよいなあ。『運命の逆転』や『ダメージ』もよかったけれど、おバカな『ダイハード3』に出て「わーい、バカ映画の悪役だ。おいしい仕事だなあ」という感じがじつによい。(『ターミネイター』のシュワルツネガー、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のトム・クルーズ、『クイック・アンド・デッド』のランス・ヘンリクセン、『許されざる者』のリチャード・ハリス、『キャット・バルー』のリー・マーヴィン、みんなほんとうに楽しそうに「悪役」を演じている。)
さらにケーブル・テレビでは『ダイハード』もやるのだが、さすがに眠くなったので、ずるずるとベッドに移動して漱石の『二百十日』を一頁読んだら、深い眠りに落ちてしまった。ぐー。


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