12 Nov

1999-11-12 vendredi

疲れる一日でした。まず合気道のワークショップ、それから講義が一つ、ゼミが一つ、それから能のお稽古。身体を使ってものを教え、口をつかって語学を教え、眼をつかって映画を見て、それから身体を使ってものを習う、という全身使用の一日でした。
ああ、疲れた。
映画は秋枝さんの発表用の『ダークシティ』
これは『映画秘宝』で絶賛していただけあって、なかなかよくできた映画。秋枝さんはこれと『トゥルーマン・ショー』と『マトリックス』をねたにして、「ヴァーチャル・リアリティに生きることの積極性」というお話をするようである。
『マトリックス』は学会の後の飲み会でもひとしきり話題になっていたけれど、結論はあれこそ「絵にも描けない現実界」ということで一致した。(絵に描いてあるけど)
『マトリックス』の現実界の「イカ」と、『ダークシティ』の現実界の「エビ」のあいだにはなにか関係があるのだろうか?(むかし合気道会には「イカちゃん」と「海老ちゃん」というふたりの一年生がいたけれど、それとは関係ないのだろうか?)
イカやエビは「寸断された身体」の太古的なイマーゴのメタファーなのだろうか。
Shell Beach の「シェル」は彼らが閉じこめられている世界そのものが「貝殻」なんだよ、ということなのだろうか。
考えるとよく分からない。でも、『ダークシティ』の美術はギーガーなので街の様子が不必要までに「かっこいい」。なんとなく19世紀末ブタペストみたいな雰囲気である。(行ったことないけど)街全体が微妙に遠近が狂っていて『カリガリ博士』の悪夢を思わせる造形である。
ぜんぜん評判にならなかったけれど、すごくよい映画なので、みなさん『マトリックス』と一緒に見てください。


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