斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ疑惑などを告発した文書問題で県が設置した第三者委が報告書を公表した。百条委の報告書よりも踏み込んだ内容だった。知事の言動16件のうち、職員への激しい叱責など10件をパワハラと認定し、また記者会見で元県西播磨県民局長を「嘘八百」「公務員失格」と非難し懲戒に処したことも公益通報者保護法違反とした。
この第三者委員会は知事自身の指示で昨年9月に設置されたものである。記者会見でさまざまな疑惑を指摘されるたびに知事はことの真偽当否の判断はすべて「第三者委員会が結論を出す」という回答を繰り返して、自身の説明責任を回避してきた。しかし、百条委の報告書は「一つの見解だ」として「重く受け止める」と言いながらその直後に元県民局長を貶める発言を続けて報告書の本旨を否定した。
第三者委員会の報告書は知事の公人としての資質に重大な瑕疵があることを厳しく指摘したものである。パワハラの多くが職員の説明を聞かずに「指示に従っていない」と決めつける事例だったことを踏まえて、報告書は「注意指導が必要かは事情を聞いて初めて判断しうるものである。叱責する前に事情を聞きさえすれば、前提事実について認識を誤ることはなかった」というまるで小学生に説き聞かせるような言葉づかいで書かれていた。この筆致そのものから知事の幼児性こそがすべての出来事の原因だという第三者委員会の(口には出さない)判断を行間に忍ばせていたように私には読めた。
すでに全国紙五紙が社説で知事に「責任を果たすこと」を求めている。平たく言えば「辞職しろ」ということである。ふつうならとっくに辞職している事例である。「ふつうの人」ならしているはずのことができないという事実そのものが、知事が「常識が通じない人」であることを示している。言うまでもないことだが、「常識が通じない人」は決して公人になってはならない。
(信濃毎日新聞3月28日)
(2025-04-03 06:25)