just married

2009-06-14 dimanche

結婚についての取材がどういうわけか続いた。
先週「週刊SPA」からは「意外と祝福されていない結婚式」という特集の取材を申し込まれる。
少し前の『AERA』に、「ブーケトスは人権侵害だ」という記事が掲載され、「局地的に」大きな話題となったそうである。
ブーケトスの時に独身女を集める「点呼型」、ある一人を呼び出してブーケ贈呈する「名指し型」などがあり、それについて、「独身者をさらし者にする行為」で、「花嫁の自己チュー」「幸せをお裾分けしようという気持ちがおこがましい」というのが「スタンダードな意見」とのこと。
「一生に一度の晴れ舞台に立つ新郎新婦の思いとは裏腹に、列席者が抱いたビミョーな違和感、祝福する気が萎えたエピソードを集めていく」特集の由。
あ、そうですか・・・とやや鼻白んで、ちょっと今回はご容赦くださいとお断りする。
その二日後に今度は『Grazia』から「婚活特集」の取材がある。
これも前に『AERA』で、「婚活」というのは話の筋目が違うのではないかということを申し上げたのを聞き咎められて、「婚活しないで、どうやって結婚すればいいのか?」という独身女性たちの側の「スタンダード」に切実な問いについて、回答を求められた。
結婚に必要なのは「万有共生」のココロです、というような答えでお茶を濁す。
答えにくいのももっともで、私は6月13日に結婚したからである。
経緯については、「知っている人は知っている。知らない人は知らない」ので、「ま、そういうことだったんですよ」という他にない。
一私事であるからして、別に満天下に対して説明責任を有するわけではないしね。
とはいえ、冠婚葬祭は人事の基本であるから、きちんとことの筋を通して、挙式を行い、媒酌人を立てて披露宴も行ったのである。
挙式は神戸女学院大学ソールチャペル。
新婦は卒業生であり、私も在職者であるので、「身内」の教会で、両名ともに親しくご指導いただき、かつ私の現在の直属の上司である飯謙学長・学院チャプレンに司式をお願いした。
飯先生は結婚式の司式をふだんはなされないのであるが、今回は私のわがままを聞き入れて、白いガウンをまとって司式の労をとってくださった。
詳細については、列席した方々の証言を徴されたい。
こういう形容がこの場合にふさわしいかどうかは知らないけれど、まことに「気合いの入った」司式であり、列席者たちは粛然と襟を正して、飯先生の説教に聞き入り、その祈りに加わったのである。
結婚式の感想として、「花嫁が美しかった」とか「新郎がうわずっていて見苦しかった」というような感想はよく耳にするのであるが、「すばらしい司式者でした」という声をこれほど聞く機会は珍しい。
まことに「神の前で誓約をする結婚式というのはこういうものなのだな」と一堂深く実感する儀式でありました。
式後、中庭にて列席者諸氏と記念写真を撮り、それから神戸オークラホテルに移動。
披露宴は、「あの」平安の間である。
媒酌人は新婦の師匠である大倉流小鼓方の久田舜一郎先生ご夫妻にお願いした。
司会は「ゑぴす屋」谷口さん。Pちゃん、シオちゃんの結婚式に続いてのおつとめである。
媒酌人による新郎新婦のご紹介のあと、ご挨拶をいただく。
新郎主賓は飯謙学長(司式に続いて、飯先生にはまたまた大役をお願いしてしまった)。
新婦主賓は大倉流十六世宗家、大倉源次郎先生。
「四海波」御発声は観世流シテ方笠田稔先生(能楽師の結婚式では会の始まりに謡曲『高砂』の一節である四海波を謡うのである。成田美名子の『花よりも花の如く』を読んでいる諸君はご存じであろう)。
乾杯御発声は “極楽スキーの会” を代表して山本義和人間科学部教授。
それから唯一のパフォーマンスとして、斉藤言子音楽学部教授と森永一衣さん(山本画伯のご令室)二人の「ソプラノ・ミラノ組」によるメンデルスゾーンの「歌の翼に」のデュエット。
来賓祝辞として、新郎友人の平川克美くんの「作文」朗読。
新婦の舞と謡の師匠である喜多流シテ方の高林呻二先生。
新婦友人の英文学者の大江麻里子さん。
締めの(泣かせる)祝辞は鷲田清一大阪大学総長。
最後に新婦と新郎からひとことずつ謝辞を申し上げる。
以上、終わり。
キャンドルサービスも、色直しも、「てんとう虫のサンバ」も、合気道演武も、舞囃子も、もちろん「ブーケトス」も、なし(ブーケはあとでるんちゃんがおみやげに持って帰ってくれた)。
この場を借りまして、改めてご参列くださったすべての方々、お祝いの品々をお送りくださったすべての方々に御礼申し上げます。
その全員のお名前を挙げることができませんので、遠くニューヨークからわざわざ駆けつけてくださった鈴木晶先生、荷風論明日締め切りの原稿まだ書いてないのに来てくださった高橋源一郎さん、本学での集中講義でお疲れのあと新幹線の時間が押していて伊勢エビのフリカッセまでしか食べられなかった関川夏央さんの「お疲れ三人組」。
そして、この日のために奔走してくださった谷口武史さん、井上清恵さん、朝からフルアテンダンスでヘアメイクしてくださった光安清登さんの「裏方三人組」。
そして、言葉に尽くせぬほどのご恩を賜りました飯謙先生に、参列者を代表して、私からのお礼の言葉を受け取っていただきたいと思います。
みなさん、ほんとうにどうもありがとうございました。
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