羽田空港で庄内空港への乗り継ぎを待っていたら、携帯が鳴って、大学事務長からインフルエンザ対策の緊急会議の招集がかかった。
すみません、墓参で鶴岡に行く途中なんで・・・と欠席の言い訳をしたが、どうもたいへんなことになっているらしい。
空港の待合室のテレビを見ると、神戸市内の感染者がまた増え、「神戸まつり」が開催中止となり、東灘区の小中高は休校措置に踏み切ったと報じている。
次々といろいろな人からメールが入る。
神戸センター街は人気がなく、マスクを買う人びとが先を争っているというジョージ・A・ロメロ的展開を知らせてくれる。
神戸市が「感染地区」になったということは、ここに住まいし、ここを通勤通学経路としている人たちは地区外への移動を自粛したほうがよい、ということである。
そういうときに対策会議を欠席して、遠く山形まで来てしまった。
年に一度のことであるから、ご容赦願うしかない。
いつものように庄内空港で車を借りて「寝覚屋半兵衛」でそばと麦切りを食し、宗傳寺でお墓の掃除をして、花と線香を手向け、墓参帳に母、兄、裕太と私の名を記す(裕太は大学入学を墓前にご報告)。それから湯野浜の亀屋旅館に投宿。露天風呂で兄と四方山話をし、湯上がりにビールを飲んで、あんまをとって、一眠りしてから豪勢な夕食で満腹し、そのまま深更までおしゃべり、
インフルエンザ対策はいかにあるべきか、ウォシュレットは中国に普及するか、ヒューマノイド型ロボットと “アトムの呪い” について(これは先日工藤くんからうかがった話の受け売りである)などなど。
翌日、三人と羽田でばいばいと手を振って別れ、大阪空港に戻る(乗り継ぎがあるのは、大阪-庄内の直通便がなくなってしまったからである。こういうところに景況が影を落とすのである)。
大阪空港は日曜の夕方というのに閑散としている。
十三駅もいつもの半分も人気がなく、阪急電車もがらがらである。
感染地区の人々は外出を避けて、自宅にこもっているのだろう。
空港から事務長に電話を入れると、うちの大学も月曜から金曜まで休校を決めたそうである。
当然の判断であろう。
むずかしいのはいつ休校措置を解除して、授業を再開するか、である。
休講期間はとりあえず学内感染はない。けれども、再開した後に感染者が気づかず登校して来ることは誰にも防げない。
おそらく文科省や都道府県の保健部局は「最終的には自己責任で各大学が開校時期を判断するように」と通告してくるだろう。
「行政はケツを持たない」ということである。
再開して感染者が出たら、「大学の責任」ということである。
それはよい。
だが、再開がなかなか決されず、休講期間が延びた場合に、「では休んだ分だけ夏休みをつぶして補講しろ」というようなことを言われては困る。
とりあえず、ウイルスの毒性についての評価がまだ確定していないし、なぜ青少年ばかり罹患するのかの理由も解明されていない以上、「大学生の学士力の確保」よりも「国民全体の健康」が優先するのは当然のことである。
こういう緊急事態のときに、「開講日数を確保せねばならない」というようなことを判断材料にすべきではないと私は思う。
授業日数確保のために、科学的根拠もなしに「終熄」を宣言し、再開を急いで、かりに罹患者が出たとき、責任はあげて再開を決めた大学にあることになる。
それでは困る。
ここはきっぱりと、「緊急事態であるので、授業日数の確保とか、今年度についてはうるさいことを言わないので、学内感染の危険が去ったと判断できるまで休校せよ」と明確な行政指導をしてほしいと思う。
しないと思うけど。
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(2009-05-17 19:11)