もう大変なんですから

2009-04-03 vendredi

日記が更新されないのはあまりに忙しいせいである。
どうしてこんなに忙しいのであろうか。
一日中立ち働いているのであるが、それでも仕事は少しも減らず、机の上には開封していない封筒の山が高度を増し、電話は鳴り続け、ファックスはべろべろと紙を垂れ流し、メールはすべて私に用事を言いつける内容のものである。
完全にメモリーがオーバーフローしており、自分が今何をしているのか、さきほどまで何をしようとしていたのかが思い出せない。
というわけで、この一週間で人と会う約束を2つ忘れ、原稿の締め切りを2つ忘れた。
だんだんこんな生き方にうんざりしてきた。
「そんなに仕事を引き受けなければいいじゃないか」とどなたもおっしゃる。
おっしゃるとおりである。
でも、そうおっしゃる本人だって私に仕事を命じるついでにそう言っているのである。
というような愚痴をもう何年もえんえんと書いている。
「断筆宣言」ももう4回くらいした。
「講演はもうやりません」と何度も告知した。
それでも仕事の依頼は少しも減らない(むしろ増えている)。
どうしてなんだろう。
何か悪いものに取り憑かれているのであろうか。

昨日はひさしぶりの休日。
のんびりできるわ〜と思っていたら、電話がかかってきて、原稿締め切りを忘れていた。
原稿そのものはもう書き上げてあったのだが、送稿し忘れていたのである。
あわてて送稿しようとしたら、原稿を入れた USB を大学のオフィスに置き忘れていた。
そういうことがないように dropbox を使っているのであるが、この原稿を書いたときはちょうど新幹線車内で Emobile が圏外だったので、アップロードできず、しかたなく USB に落としておいたのである。
その USB を大学の PC に突っ込んだまま帰宅してしまった。
休みのはずなのでこそこそとオフィスに入る(みつかるとまた何か仕事を言いつけられるからである)。
そこから送信しようとしたが、大学の PC は旧式なので、USB のファイルが読み出せない。
しかたなく家に持ち帰ることにする。
帰りに銀行に寄る。
タチバナさんが淡路島で始める農業プロジェクトのスポンサーとなったので、その資本金を送金するのである。
銀行が貸し渋りをしているので、私のような個人が起業を支援して経済活動のてこ入れをせねばならない。
人から税金をとるばかりで政府は何をしておるのか。
あ、税金の話は止めよう。
怒りで気が遠くなる。
財務内容についてご報告を受ける。
投資信託では50%近い損を出したが、全部投資信託にしろという誘いを断って、必死で定期預金を守ったので、私の被害は比較的軽微である。
ついでに道場の土地取得について相談。
地価はもう少し下がりそうだけれど、道場に適当な物件そのものが少ないので、出物があったら、即買いしなければならぬ。
しかし私にはその金がない。
ナガサキ支店長に「貸して」とお願いする。
帰りにラポルテに寄って買い物。
家に戻り、『マルクス書簡』の4通目を書く。
「ユダヤ人問題によせて」と「ヘーゲル法哲学批判序論」について。
この二つの書物におけるマルクスの主張を要約し、その思想史的意義を述べ、さらにそのロジカルな瑕疵について論じるのであるが、それを「高校生にもわかるように書く」のである。
石川先生が前半の3つを担当し、「高校生にもわかるようにリライトする」ところを私が担当する。
「どうしてユダヤ人が迫害されるか、みなさんはご存じないでしょうね」というところから始めてマルクスのバウアー批判を解説するのである。
これは面白いです。
でも、手元に本がない(みつからない)ので、続きが書けない。
しかたがないのでネットで注文する。
日が暮れてきたので、パスタを茹で、大蒜とベーコンとマッシュルームを炒めて、バジリコソースで和えたものを作り、冷たい白ワインを飲みながら食べる。
ぱくぱく。
少しだけ幸せな気分になる。
食後の腹ごなしに『ウォンテッド』を観る。
アンジェリーナ・ジョリーの「爬虫類顔」が実によい。
予告編でも使われていたスーパーのレジのところで銃を取り出すときの「眉根の皺」が最高。
見終わってしまったので、アゴタ・クリストフの『悪童日記』を読む。
すぐに読み終わってしまったので、続いてジュール・ヴェルヌの『15少年漂流記』を取り出す。
最近どこかで「『15少年漂流記』を読め」と言ったのであるが、半世紀くらい前に読んだのでもう内容をよく覚えていない。
眠くなったので、ベッドの中で最近の「ナイトキャップ漫画」であるサラ・イネスの『大阪豆ごはん』を読みつつ寝る。
ぐ〜。
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