死のロードが始まる

2008-07-29 mardi

「死のロード」が始まる。
7 月 27 日日曜正午にスタートして、8月3日の正午までの 8 日間。
27 日は東京五反田でヨーガの成瀬雅春さんと対談。日帰り。
28 日は朝から大東市で人権教育のための夏季研修会での講演。
29 日は中休みなので、コンピュータ関連業務ならびに大学での執務。
30 日は横浜の朝日カルチャーセンターで能楽のワキ方安田登さんと対談。横浜泊。
31 日は東京で『オール讀物』で、三砂ちづるさん、鹿島茂さんと「マッチメイカーおじさん・おばさん」鼎談。羽田から福岡に移動。
8月1日、福岡から佐賀へ移動して、佐賀教育センターで講演。
午後神戸に帰る。
8月2日、養老孟司先生をお迎えして、大学のオープンキャンパスでの講演会とシンポジウム。シンポジウムの後は芦屋で打ち上げ。
8月3日、大学内のゲストハウスに泊まれられた先生がたと朝ご飯を食べて、駅までお送りする。
ここまで。
とりあえず、成瀬さんとの対談と大東市の講演が終った。
日程的にはこれがいちばんきつかったので、終ってほっとする。
成瀬さんとの対談場所は、前に多田先生と対談された五反田のヨーガ教室。
ほとんどパブリシティをしていないので、聴衆はヨーガと合気道多田塾の人たちばかり。
成瀬さんはご存知「空中浮揚」の人である。
ほんとうに空中に浮いてしまう人から「どうして人間が空中に浮くことができるのか」についての仮説をうかがうというのはたいへんにスリリングである。
私はたいていのことは信じている。
幽霊も来世も輪廻転生も呪詛も信じている。
怪力乱神を語るのが大好きなのである。
「怪力乱神」そのものにも興味があるし、「怪力乱神」について語らざるを得ない人間の心のありようにも興味がある。
私たちは畢竟するところ「人間たちだけしかいない閉じられた宇宙」(@アルベール・カミュ)の住人である。
人間の世界は人間的意味によって編み上げられている。
トカゲは耳元で銃声がなっても驚かない。それはトカゲの世界には銃声を伴う危険が存在しないからである。人間は耳元で銃声がなると肝をつぶす。それは人間たちの世界では耳元で響く銃声は生命の直接的な危機を意味するからである。
それぞれの種にとって世界はそれぞれの種の生存戦略に喫緊にかかわる情報を中心に編成されている。
「人間たちの世界」は人間たちの生存戦略に死活的に重要な情報を中心に編成されている。
ただし、人間の場合、情報評価において、個体間にかなりばらつきがある。
私は「気分の悪い場所」や「そばにいると生命力が失われる人間」についてつねにセンサーを働かせている。
うかつにそういうものに近づくと心身のパフォーマンスが低下して、気分が悪いからである。
でも、世の中には、「そういうもの」をリスクにカウントしない人もいる。
彼らにとっては、私には死活的に重要と思える環境情報が無意味なのである(トカゲにとっての銃声のように)。
生きているニッチが違うのだから、それはそれでよろしいのである。
私は「怪力乱神」の跳梁する世界の住人である。
「そういうことってあるよねワールド」の住人である。
その方が楽しいし。
今回の成瀬さんの話で面白かったのは、地上90センチと120センチのところに空気の密度が濃い「薄い膜」があって、それにそおっと乗ると「ふわん」とたわんで、110センチくらいのところで安定する、という話。
膜が「たわむ」というところがいいですね。
それから角川春樹さんが一日に3万回木刀を振るという話(これは楽屋話ですけど)。
『映画秘宝』読者はご存知のことだが、角川春樹さんは武神の霊がおりてきて、いま一日に33000回木刀を振ることができるようになったそうである。
「ほんとなんですか?」と私がかなり懐疑的なマナザシで問いかけたところ、成瀬さんは「ほんとだよ」ときっぱりと答えてくださった。成瀬さんは角川さんと仲良しなので、そのあたりの事情はよくご存知だそうである。
あと前田日明さんとの交遊とかおもしろい話を裏でこっそり聞いたのであるが、これはオフレコ。
--------