オフなので、家の掃除をする。
書棚に文庫本を並べて、ようやく最後の段ボール群が片づく。
ふう。
なんで私はこんなに疲れることを19回もやっているのであろうか。
ローリングストーンズに「19回目の神経衰弱」(19th nervous breakdown) という名曲があるが、私も引越のたびにちょっとずつナーバスにブレークダウンしているような気がする。
気を取り直してメールに返事を書く。
返信を要するものが30通ほど来ている。
一通書いているうちにもう次のメールが来る。
これでは「いたちごっこ」である。
メールのほとんどが仕事の依頼である。
「x月x日はお時間ありますでしょうか?」という問い合わせがくるとグーグルカレンダーを拡げる。
何も書いていなかったり、授業だけの日だったりすれば、「時間ぜんぜんありません」とは言えない。
嘘がつけないのが私の弱みである。
法螺はいくらでも吹けるのだが、嘘がつけない。
針小棒大話10倍は得意技なのであるが、白を黒と言いくるめる術を習得していないのである。
しかし、「法螺吹きでかつ嘘つき」と二枚揃ってはほとんど天下無敵となってしまい、それはそれで「アラブの石油王から融資話が・・・」とか「M資金にいささかコネがありまして、しっ、声が大きい」というような話を縦横に繰り出して世上はた迷惑なこと必至である。
「ふふふ、詰めが甘いね、ウチダくん」とワルモノの憫笑を誘っているあたりが私の分際である。
お掃除が終わったので、ヤマちゃん本の校正をする。
これは9月までというのを頼み込んで11月まで締め切りを延ばしてもらったのである。
だって、8-9月には『村上春樹にご用心』、『大人は愉しい』、『私の身体は頭がいい』、『疲れすぎて眠れぬ夜のために』、『合気道とラグビーを貫くもの』と5冊も出るのである。
いくらなんでも出し過ぎである。
本学には教員が出版した書籍については、これをお買い上げくださって同僚に無料配布するという美風がある。
しかし、最近この美風について、「いかがなものか」という疑惑が一部の同僚の胸裡に兆したとしてもどうして私にそれを咎めることができよう。
だって、10月なんか「研究所配付本」のうち5冊がウチダ本なのである。
年間の研究所「お買い上げ」経費の相当部分を単一教員に投じてよろしいのであろうか。
私が研究所員であれば(あるが)、研究所長のヤマモト先生に熟慮を求めたいところである。
午後は AERA の「現代の肖像」のための写真撮影。
御影の街を物憂げに散策したり、「甲南麻雀連盟会歌」を作詞したり、晩ご飯のポテトサラダのためにドレッシングを作ったりしているところをぱちぱちと撮る。
作詞とドレッシングはほんとうであるが、私はふだん「物憂げに散策」などしない。
歩いて 50 メートルのクリーニング屋に行くのにもバイクに乗るような「イラチ」なのである。
写真撮影しながら、川上盾牧師のご依頼により「甲南麻雀連盟会歌」の2番、3番を作詞する。
これは来る10月20日の「祝賀会」で川上牧師の作曲で披露されるのである。
この祝賀会は小林賞の受賞を甲南合気会、甲南麻雀連盟の共催で祝ってくださるという趣旨のものである。
幹事のホリノ社長がぐっと気合いが入っているので、どのような壮絶な宴会になるのか想像するだにオソロシイ。
この機会であるので、甲南麻雀連盟会歌の全歌詞をここで公開
しておこう。
「ポンといったら手を出すな
早い立直は一四索
出るかヒロキの字一色
嗚呼、ドラ槓に上がりなし」
これが1番。
本日作詞の2番は
「『満貫だけ』でも不満顔
『聴牌するな』とベソをかき
『西ドラ6』と大笑い
救いは老師のバクシーシ」
ついでに3番
「タンピン三色一並刻
六万切ってペン三万
四暗刻より七対子
それでも勝てない人もいる。
嗚呼、それでも勝てない人もいる(リフレイン)」
内輪ネタなので、何の話がわからぬ方も多いかと思うが、江さん、画伯、弱雀小僧、釈老師、かんちきくんという会員諸氏の雀歴を詠み込んだものである。
特にかんちきくんの場合は、二代目総長ということもあって、3番全曲を彼のために捧げているあたりに先代の心づくしを重く受け止めていただき、ますますの雀道精進を期すのである。
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(2007-10-03 20:21)