亀寿司で中トロ食べて、海星で本の話をする

2007-08-21 mardi

亀寿司中店が8月一杯で閉店することになったので、「中店で中トロを食べる会」(画伯とえぴす屋さんの共同企画)メンバーが一夕中店二階に集まって、まっちゃんの握る寿司を堪能することになった。
えぴす屋さんに仕切りを任せると、とにかく人の集まりがよい。
今回は16名。
亀寿司二階を占拠し、「半ケツ」「半身半立」など身体技法を駆使して、約2メートル半ほどのカウンターに16名が犇めく(この字、実感があっていいなあ。「ひしめく」と読むのです)。
加えて、二階のクーラーが故障していて、暑い空気を扇風機がかき回すだけなので、文字通り「汗牛充棟」の惨状を呈する。
私は中トロ、穴子、イカ、鯛、赤貝、鉄火巻、穴子巻などを食し、ビールを飲み、熱燗をのむ。
この暑いのに熱燗なので、ますます汗がだらだら出てくる。
最後なので、まっちゃんの中トロの握り方がだんだん過激になってきて、最後の方はしゃり1に対して中トロ5という比率になっていた。
画伯はもう一度29日にも中トロを食す予定のようであるが、私はその日東京で仕事なので、これが食べ納めなのである。
「昭和の寿司屋」の面影を湛えた亀寿司中店と中トロ握り forever!

一夜明けて、朝から神戸海星女子へ。
兵庫県学校図書館研究大会の講演を仰せつかったのである。
酷暑の中、くらくらと王子公園まででかける。
オーディエンスは学校図書館の司書のみなさん。
お題は「ことばの力」。
本好きの聴衆を前にして、言語の力について語るのであるから、これは私としては珍しく「専門領域」の演題と申し上げてよろしい。
安倍晋三のコミュニケーション能力評価から始まって、メタ・コミュニケーションについて、音韻について、拍(モーラ)について、倍音について、「浸透性のあることば」について、村上春樹と太宰治の天才性について、大瀧詠一の歌唱法について・・・あれこれと1時間しゃべって、きりのよいところでおしまい。
海星の森田校長と、先日の舞子ビラでの中堅教員研修会でご挨拶をした甲陽学院の石川校長(本日は司会の労をとってくださった)とおしゃべりをしてから、また熱気の中を帰る。
でも、午前11時にその日のメインの仕事が終わるというのは、うれしいものである。
これでこの夏の講演は土曜日の大阪府教組でおしまい。
ゲラも『私の身体は頭がいい』(文春文庫)、『疲れすぎて眠れぬ夜のために』(角川文庫)、『合気道とラグビーを貫くもの』(朝日新書)、『村上春樹にご用心』(アルテス・パブリッシング)と四つ仕上げた。
残りは二つ。
レヴィナスの『困難な自由』(国文社)と『大人の言い分』(仮題・・・このタイトル、つまんないよ、ヤマちゃん)(文春)が残っている。
これを今月中に仕上げる予定である。
ということはつまり私は7月8月に6冊のゲラを校正するということである。
ということはつまりこのあと本が6冊出るということである。
いくら既発の文庫化やありものコンピや翻訳とはいいつつ、人間技とは思えぬハイペースである。
そんなにいっぺんに本を出したら、いくら寛大な読者にも忍耐の限度というものがあろう。
そんなには買えんぞ、と。
そうおっしゃるであろう。
当然である。
私がウチダ本の愛読者でもまさか6冊全部は買わない。
せいぜい2冊である。
レヴィナス『困難な自由』の復刻は、これはどなたにも必ず買ってもらわねばならぬものであるから、これで1冊。
残り5冊から一つを選ぶとなると・・・
まあ、平尾くんのデビュー作となる朝日新書のラグビー・合気道本と、アルテス・パブリッシングの創立第一作である村上本のいずれかをオススメするということになるであろう。
文春と角川にはこの際泣いてもらうしかない。
気の毒だけど。
そんなにたくさん本出したら、みんな飽きて、いずれ誰も買わなくなるよ、とあれほど言っているのにどうして出版社の諸君はひとのいうことを聞かぬのであろう。
本は二年に一冊くらい出すのがちょうどいいペースである。
私はこのままゆくと2007年は単著共著あわせて年間16冊ということになる。
ちょうどいいペースで書いてる人の32年分である。
肩がばりばりに凝るのも当然である。
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