吉本隆明 on stage

2007-07-23 lundi

東京日帰り。
『中央公論』の企画で、吉本隆明さんと対談。
お題は家族論。
高校1年のときに『自立の思想的拠点』を読んだときには「なま」吉本隆明とその40年後に出会うことになろうとは想像だにしなかった。
人生というのはまことに何が起こるかわからないものである。
吉本さんのお家は本駒込の吉祥寺というお寺の近くにある。
駒込は寺だらけの町だが、吉本さんの家は玄関から隣のお寺の釈迦像が見えるという、たいへんホーリーなロケーションである。
『中公』の井之上くんと編集長の間宮さんとカメラマンのワイダさんと、ぞろぞろと吉本邸に上がり込む。
応接間でまつことしばし、吉本隆明が登場した。
おもわず土下座。
むかし埴谷雄高との「コムデギャルソン」論争のときに吉本さんがコムデギャルソンを着て自宅のソファーに座っている写真を見た覚えがあったので、ご自宅ではやっぱり今もコムデギャルソンを着ているのかしら・・・と思い込んでいたが、考えてみたら吉本さんももう83歳であるから、そんなことはないのである。
それから4時間半ほど対談(というよりは吉本さんの独演会)。
吉本隆明はあたたかい、澄んだ眼をした人であった。
みつめられると、なんだか「ほっこり」してくる。
吉本さんの話のあいまに、どうでもいいような合いの手を入れただけで、私の方は呼んでいただいたほどの働きはできなかったけれど、まことに記念すべき一日であった。
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