会議会議で今日も暮れ

2006-03-02 jeudi

後期入試。
朝から入試本部詰め。
別に特段の仕事があるわけではないが、学長、入試部長、大学事務長、入試課長と一日ずっと顔を合わせておしゃべりしているので、話頭は転々奇を究めて・・・というふうにはならずに話題は入試のこと、志願者獲得秘策のことばかりである。
関西以外の方はあまりご存じないであろうが、関西には「関関同立」ということばがある。
東京における「六大学」というのとやや似たニュアンスで、関西における四大私学(関西、関西学院、同志社、立命館)のことである。
この四大私学がいま「大学淘汰の時代」に猛然たる拡大路線を驀進している。
新学部の創設、他大学の統合、そして高校の系列化。
巨大私学による小規模私学の併呑と高校中学さらには小学校幼稚園までの系列化がぐいぐいと進行している。
本学もお隣の聖和大学が関西学院大学に統合されたので、2008年度から塀の向こうが関学キャンパスになる。
そこに教育と福祉に特化した新学部ができるらしい。
教育学と福祉学は私のいる総合文化学科の重要なピラーであるけれど、こちらは学科全体で定員が180、先方は一学部900人である。
だが、「衆寡敵せず」とへたりこむわけにはゆかない。
「窮鼠猫を噛む」「一寸の虫にも五分の魂」「山椒は小粒でぴりりと辛い」と俚諺にも言う。
こっちも負けてはいられない。
学長を囲んで密議を凝らす(というわりには声がでかいが)。

明けて本日は会議の一日。
朝10時に始まって夕方6時まで会議が四つ。
お昼ご飯も会議飯。
二度の休憩のあいだに来月の会議資料をパソコンでばしばし打つ。
会議が終わったあとは大学案内のために合気道の稽古風景の撮影。
終わると7時半。
今は確か大学は春休みのはずだが・・・
この一年「会議漬け人生」を送っているうちに「会議で疲れない方法」を発見する。
それは「我慢しないで、言いたいことを言う」ということである。
あまり汎用性があるとは思われないが、じっと押し黙って時間が過ぎるのを待つよりはだいぶ心身の衛生にはよさそうである。
私の心身の衛生にはよいことが、多くの場合、同席している他の教職員のみなさんの心身の衛生を損なってしまうことが瑕疵と言えば瑕疵であるが、その結果、「ウチダを会議に呼ぶのは止めませんか。不愉快だし」という合意が学内的に形成されると、私としてはたいへんにありがたいです。

毎日新聞社刊の『憲法本』(タイトルは『九条どうでしょう』と決まる)に平川くんが寄せた憲法論についてコメントを求められる。
平川くんが私の憲法論にコメントし、私が返歌をつけるという結構である。
ワインを飲みながら、とりあえず「平川くんは詩人である」という最初のフレーズをまず書きつける。
不思議なもので、最初のワンセンテンスを書くと、あとはすらすら文字が勝手につながってゆく。
読み返すと、そんなことを私が思っていたとは私自身も知らなかったことが書いてある。
なるほど、そうだったのか(と私に納得されても)。
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