知らない会社から電話がかかってきて、インタビューしたいという。
テーマは「富裕層の消費動向について」。
どうも代理店がらみの仕事のような気がする。
代理店がらみの仕事は前に一度だけやったことがある。
そのときに「今後二度と広告代理店がらみの仕事はしない」と堅く心に誓ったのである。
別に代理店でお働きになっている個々の方々に怨みがあるわけではない。
業界の風儀が私の肌には合わなかったというだけである。
別に一般論として「広告業界はよくない」などという非道なことを申し上げる気はない。
私はそちら方面の仕事は性に合わないのでやらないというだけのことである。
したい方はどんどんなされればよい。
私はそういうこととには不案内な人間なので、そちら方面には足を向けない。
東は東、西は西。
それに私に「富裕層の消費動向」を訊ねるというところに無理がある。
富裕層というのは六本木ヒルズとか御殿山の三井不動産のマンションとかに住んでいる年収数億とか数十億といった方々のことなのであろうが、私にはそのような階層の知り合いはいないし、見たことさえない。
見たことも聞いたこともない人の欲望のありかを私が知ろうはずもない。
そういうことはムラカミさんとかホリエさんとかソンさんとかミキタニさんとかに直接お訊ねになるとよろしいかと思う。
たぶん彼らが欲しがっているのは「金」だろう。
「そんなにお金があると何が欲しいですか?」
「金だね」
人間の定義は「交換するもの」である。
金で金を買うという行為は「交換」の定義に悖る。
そういうことができる方々のことは、もはや私のような古典的な人類学で涵養されたものにとっては遠く理解の埒外なのである。
と書いたあとにインタビューの「案」を読んでみたら「富裕層」というのは「世帯年収1500万円以上でかつ300万円以上の車を購入したいと考えている人および現オーナー」という定義があるのを発見した。
あら。
それが「富裕層」なのか・・・
どっちかと言うと、その辺の方たちの消費動向がいちばん「ビンボくさい」んじゃないかというような気もするので「富裕層」というのははばかられるのだが・・・そんなことを言うと敵を増やすだけだからスルーしてください。
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(2005-10-21 10:17)