星降る六甲の夜は更けて

2004-12-01 mercredi

どたばたと大学の中を走り回ってゼミを二つ片づける。
四年生のゼミはもうあと残り二回。
このメンバーでこのゼミ室でわいわいとおしゃべりをするのもあとわずかと思うと、ちょっと切なくなってくる。
教師というのは、こうやって毎年「切ない」気持ちで卒業生を送り出してゆくのである。
きゅん。

大学院のゼミでは京大から来ている神吉くんが「社会関係資本」について発表。ネットワーク、人脈といった「見えない資産」をどう計量し統御するかという論件である。
「invisible asset」については『東京ファイティングキッズ』で平川君と論じたし、文化資本についても『街場の現代思想』であれこれ書いた。
「文化資本」や「社会関係資本」というのは、それを「資本」だと思って考量する人間の眼には「資本」に見え、そういうふうに見ない人間の眼には「資本」には見えない、という一種の構築主義的同語反復である。
こういうものに対しては、「なもの、どうだっていいじゃないか」とほうっておく、というのが正しい社会人のマナーではないかと私は考えている。
ゼミ終了後、六甲セミナーハウスまでソッコーで移動。
本日は、内田ゼミの三四回生合同「懇親会」。
四回の諸君が、「かわいい子ばかり」と評判の三回生たちを見てみたいと言い出したので、この企画となったのである。
別に私としてもゼミ生たちが学年を超えて懇親されることに異論のあろうはずもない。
訓辞も開会の挨拶も何もなく、とりあえず乾杯して、ただちに総員20名による大規模な「すき焼き撤去作業」が行われる。
引き続き河岸を二階に移して、ワイン、ポテトチップスなどの撤去作業が継続される。
ムラサキくんの「恋バナ」にオカムラくんが絶え間なく突っ込みをいれるのをげらげら笑って聴いているうちに六甲の夜はしんしんと更けて行くのであった。
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