病臥の日々

2004-06-02 mercredi

これまでの人生でずいぶん何度も風邪を引いてきたが、今回の風邪はそのワーストスリーに堂々とランクインするほどの「性悪」な風邪であった(と過去形を使っているが、まだ咳がとまらない)。
金曜日の夜半にやや咽喉に違和感があり、「あ、風邪かな・・・」と思っていたが、翌日は朝からバザーの切符もぎり当番があり、午からは合気道、終わったら駆け足で東京へ行って池上先生との対談仕事の「夜の部」が予定されているので、寝付くわけにもゆかない。
バザーと合気道はなんとかこなしたが、新幹線の中で寒気がしてきた。
どこかで風邪薬を・・・と新宿駅をぐるぐる歩き回ったのだが、薬局というのはうんざりするほどそこら中にあるようでいて、いざ探すと意外に発見できないものである(だいたいなんでもそうだね)。変な化粧品売り場はそこらじゅうにあるのに。
結局薬局を探し当てることができぬままに対談の時間となり、池上先生、お二人のご令息(五朗さんと信三さん)、赤羽さん、毎日新聞の中野さんといつもの由庵でご会食。
「宴会人間」の宿業で、こういう場面になると体調不良で発熱しているのか、お酒に酔って頬がほてっているのは、定かでなくなり、なんだか機嫌よくトークは進行する。
しかし、三宅先生も参加しての二次会になる頃にはさすがに明らかに「酔ってろれつがまわらない」というよりは「高熱で意識が混濁している」状態となる。
這うようにしてホテルにもどり、フロントで風邪薬をもらって飲むが、市販の総合感冒薬程度ではもう収まるものではない。
翌朝の対談パート2はパスさせていただき、三宅先生に抱えられるように新幹線で芦屋へ戻り、そのままダウン。
夜中に体温をはかると39度5分。
あああと気が遠くなる。
月曜も朝から高熱が続き、身動きもままならない。とりあえずドクターの携帯に「Help me」というエマージェンシー・コールを入れ、事情を話して薬を届けてもらうことにする。
ドクターが解熱剤、鎮痛剤、抗生物質、胃薬などを大量に持ってきてくれる。ついでに簡単に診察してもらう。
「だいぶ炎症がきてますね」とのご診断。
まことにこういうときにご近所にホームドクターがいるのはありがたいことである。
解熱剤をのんだら、39度前後を行き来していた熱が少し下がって、いくぶん楽になる。
しかし、汗がすごい。
30分ほど寝て、目が覚めると、頭から水をかぶったように全身が濡れている。
よろよろと起きあがって、パジャマを着替え、シーツを代え、枕カバーを取り外し、タオルケットを換え・・・というような作業を三日間、何度となく繰り返す。
何も食べる気がしないが、空腹で薬を大量服用すると胃に悪そうなので、バナナと牛乳とヨーグルトをむりやり押し込む。
しかし、よくも汗をかいたもので、さきほどぬれたパジャマとTシャツを洗濯するときに数えたら、35枚あった。
Tシャツ35枚分の汗をかいたのであるから、体重だって10キロくらい減っていてよいはずなのだが、これは不思議なことに2キロしか減っていない。
なんだか理不尽な気がする。
火曜日は申し合わせとゼミ二つがあったのだが、まさに最悪の状態にあったので、どちらもパス。
水曜日になって、ようやく医者に行く元気が出る。
病気になったら医者に行け、と人々は気楽に言ってくれるが、医者に行くことができるのは、医者に行くだけの体力のある人間に限られることを忘れてもらっては困る。
なにしろ四日も風呂に入らずひたすら悪寒と発汗と痰咳の吐き散らし活動に専念従事していたわけであるから、身の汚さは言語を絶する。
医者に行く前に、とりあえず風呂に入って、髪を洗い、全身をきれいにお掃除する。
ふらふらとかかりつけの西川内科にはいずってゆく。
血のまじった痰も出ているので、一応お願いしてレントゲンを撮ってもらう。
最近のレントゲンは5分くらいで結果が分る。前に撮ったのと比較して、特に気管支にも肺にも特に危険な徴候はないということをうかがってほっと一安心する。これで悪性の気管支炎にでも罹っていると、日曜の下川正謡会以下すべての予定がわやになる。
解熱剤、抗生物質、咳止め、鎮痛剤など7種類の薬をもらって蹌踉と家に戻る。
シロップの咳止め薬がよく効いて、のどの痛みがすうっと引く。
やれやれ。
『ミーツ』の原稿の締め切りを二日のばしてもらったので、それだけ今日中に書き上げて、あとはおとなしく寝ていることにする。原稿はもうできているのであるが、字数を数えていなかったので送稿できなかったのである(原稿の字数を数える気力さえない、ということもあるのだ)。
明日もまだ熱が残っているようなら、無理せず休講にすることにする。
みなさんも夏風邪にはどうぞご注意下さい。

業務連絡
徳島の「みどりあたま」さんから光岡先生の講習会のご案内が来ました。本学の講習会の前週です。守さんが定期的にされている四国の講習会の徳島ヴァージョンだそうです。
興味のある方はぜひそちらにもご参加くださいますようご案内申し上げます。
『光岡師範韓氏意拳講習会 in 徳島』
(一応へも身共催)
日時:6/12(土)13:30〜16:30
場所:徳島県立中央武道館剣道場
事前の申し込みが必要になります。
問い合わせ、申し込みは、
http://www.52983.net/dan.htm の守さんまで宜しく御願いします。
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