衆愚政治へ

2022-09-01 jeudi

 毎日新聞が8月20~21日に行った世論調査では、岸田内閣の支持率は前回の52%から16ポイント下落して36%、内閣成立後最低を記録した。不支持率は54%で17ポイント増加。理由は明らかだろう。統一教会と自民党の癒着という「現代政治史の闇」を解明する気がないという腰の引けた姿勢に有権者たちがつよい不信の念を抱いたからである。
同じ世論調査で、政治家は統一教会との関係を断つべきかという問いに「関係を断つべき」が86%。自民党支持層でさえ77%に達した。
 内閣改造後に支持率が急落するというのはふつう起きない。ふつう起きないことが起きたのは、統一教会との癒着が疑われる議員たちを内閣に大量登用したこと、とりわけ統一教会との深い関係が暴露された萩生田光一氏を党政調会長という要職に起用したことが原因である。
その萩生田氏がさきの参院選前に応援を依頼に生稲晃子氏を統一教会支部に引き連れていったことについて、二人ともに「どこに行ったのかよく知らない」という見苦しい言い訳をしたことが国民の「うんざり感」を亢進させた。
 統一教会がどういう活動をしているか知らなかった。自分が関係した団体が統一教会の傘下にあるとは知らなかった。霊感商法の被害者弁護団から国会議員には繰り返し「関係を断つように」との懇請があったのだが、そのことも知らなかった。そうやって「無知を装う」ことで責任を逃れろと党執行部から議員たちに下知されたのであろうか。たしかに「事実の無知は弁疏となる」とローマの法諺にはある。だが、国会議員が「自分は世情に疎いもので」ということを弁疏に用いてよいものだろうか。それでは、「世情に疎い人間に国政を議す資格があるのか?」という疑問にどう答えるつもりなのか。
 いや、答えられないことはない。「私は世情に疎いが、それはあなたがた国民と同程度に疎いということであって、民意の代表者としてはむしろ適切ではないか」と言い抜けることはできる。議員がその知性・特性において国民の平均を上回ることがない政体を「衆愚政治」と呼ぶ。日本は今そこに向かおうとしている。