ル・モンドの記事から(森友学園問題)

2017-02-28 mardi

2月27日のLe Monde が森友学園と安倍総理の関係について報じた。
どのような形容詞が用いられているか、注意して読んで欲しい。

ナショナリスト的逸脱(dérive nationaliste)と不都合な便宜供与がいりまじった一つの事件が日本の総理大臣安倍晋三の足元を脅かしている。話題になっているのは4月1日開校予定の大阪の私立「瑞穂の国記念」小学校である。
2月27日、当局はこの施設の建設工事についての調査を行った。この施設は学校法人森友学園が開学する「日本で最初で唯一の神道小学校」である。神道は日本起源の宗教である。
森友学園は2016年6月に国土省から一区画の土地を1億3400万円で購入したが、これは現地の地価の七分の1である。国土相はこの土地が9億5600万円と価格査定されていたことを認めている。この値引きが行われたのは、廃棄物の除去と、微量のヒ素や鉛を含む土壌の除染が必要だったからである。しかし、野党によると、取り出されたのは廃棄物のごく一部であった。残りは現場に埋め戻され、森友学園は除去工事のために1億円しか支出していない可能性がある。当局はこの交渉についての記録は保存されていないと述べている。
総理大臣とその妻昭恵はこのプロジェクトに深いかかわりを有している。安倍夫人はこの小学校の名誉校長であるが、彼女の名前と写真は学校のインターネットサイトからはすでに削除されている。また彼女が生徒たちに向けて書いたメッセージ、彼らが「明日の日本の指導者になる」という文言も削除された。学園は「安倍晋三」の名を学校につけることを求めていたが、本人の依頼によって断念したとされている。
「もし、私の妻や私がこの取引に関与していたことが明らかにされたら、私は総理大臣も国会議員も辞職する」と安倍晋三は2月18日に言明した。だが、それでも事態は沈静しなかった。
2015年9月4日、安倍夫人は同じ学校法人が経営する大阪の幼稚園を訪れている。子供たちが毎朝日本を称える歌を歌い、教育勅語(1890年に制定され、1945年まですべての学校で毎年何度も朗読されたテクスト)を朗読することを彼女は大いに喜んだ。この勅語は「帝国の偉大さ」を称え、「必要なときには国家のために身命を捧げること」を命じたものである。
森友学園のプロジェクトは防衛相稲田朋美と日本会議からの支援を得ている。日本会議は影響力を持つ超国家主義的(ultranationaliste)復古主義的(traditionaliste)な組織で、その会員には総理大臣も森友学園の理事長籠池靖憲も含まれている。
この近接性は極端なナショナリスト出自(issu de la frange nationaliste)の安倍氏が現在の学校教育が過剰にリベラルであり、歴史問題について「自虐的」であることをつねにはげしく批判していることと符合する。彼は第二次世界大戦中の日本の権力濫用についての記述を歴史教科書から減らすように主張し続けてきた。
森友学園のねらいは「世界一純粋な国」日本の子どもたちの「愛国心と誇りを涵養する」ことにあり、そこには排外主義(xénophobie)的傾向が濃厚である。テレビは運動会の開会式での幼稚園児たちの宣誓の場面を収録したビデオ映像を放送したが、その宣誓の言葉には、「日本を迫害する」中国と韓国に対する言及があった。子どもたちはまた総理大臣と彼の安全保障政策に対しても「安倍総理、がんばれ」との声援を送っていた。