ル・モンドの4月1日の記事を訳出してみました。
サルコジ来日についての解説です。
クールですね。
「在日フランス人たちの反応のあまりの迅速さに対して、多少の留保があったことを私は理解している。」と共和国大統領は述べた。
「だが、これははっきり申し上げねばならない。『予防の原則』を適用することはフランス政府の義務であったということである。東京にぜひともとどまらなければならないもの以外のフランス人たちに対して出国を勧奨した決定の責任を私は引き受ける。」
ここでいう『多少の留保』とはどういうことであろう。
大使館はよれば、それは在日フランス人たちの中には、フランス外交官たちの反応が迅速すぎるというものがあり、一方には緊張感が足りないというものがあったということを意味しているそうである。
だが、フランス外務省にとって、それは日本のメディアのことである。日本のメディアは外国人たちのあまりにすばやい離日に驚いたのである。とりわけこの留保は、困難なときに外国人たちに見捨てられたと感じて傷ついた日本人たち自身のものである。
日本人はニコラ・サルコジに対して決してよいイメージを持ってはいない。2004年の演説の中でジャック・シラクの相撲への情熱を嘲弄したことを忘れていない。サルコジはこう言ったのだ。「てかてか油で光らせた巻き髪を結った肥満した男たちの格闘のいったいどこが面白いのか。あれは知識人のスポーツではない。」
日本の日刊紙、産経新聞はそのときのことを忘れずに引用して、大統領の日本文化への興味の乏しさをを強調した。とはいえ、大統領の演説は日本のメディアからはおおむね好印象をもって迎えられた。核の安全処理についての支援の約束に敬意を表したのである。
震災の翌日、フランス大使館のサイトの「情報と勧告」のブログに次のようなメッセージが通達された。「現在の状況(大地震のリスクと核問題による世情不安)を勘案すると、東京地域にとどまる特別の理由なきものについては、数日間関東地方を離れることを勧告することが合理的と思われる。またこれから日本に向かおうとするフランス人には止めることを勧告する。日本旅行を計画している方には計画の延期をお勧めしたい。」
数日後、このメッセージは消去された。
日本のメディアと政府が国民に冷静と連帯を求めているときに、このような脱出の誘いが日本人を不愉快にしたのはある意味当然である。大使館はこれは離日を勧めるものではないと訴えたが、17日18日にはフランス人をソウル経由で帰国させる特別便がチャーターされた。
日本にはフランスの企業が、とくに奢侈品と製造業の分野で、何社も展開している(Valeoなど)。例えば、Arevaは震災の翌日に従業員を西日本に送り出した。
この緊張を緩和するために、フランス大使フィリップ・フォールは日経新聞の閲覧者限定インタビューに応じた。迂回的な修辞を駆使して、大使は言い訳をしたが、あまり成功したようには思われない。
「ショックを受けて帰国したフランス人たちは個人的決断によってそうしたのです。中には勤め先の許可なしに帰国したものもいます。これは個人主義的な対応であり、眼に見えない核の脅威に対する恐怖に駆られたものです。だが、これがほめられた行動でないというのは事実であります。彼らとフランス企業に成り代わりまして、日本のみなさんに心からお詫びを申し上げたいと思います。」
メディアはニコラ・サルコジの介入とフランスからの支援に対しては敬意を表したが、フランスと日本のビジネスの関係がこれによってどういう影響を受けることになるのかは見通し不透明である。
(2011-04-03 12:42)