夏休み最後の日の憂鬱

2007-09-27 jeudi

夏休みが終わってしまう・・・
明日から学校である。
などと書くと世間のサラリーマンのみなさんは「なにを言ってやがる」と激怒されることは火を見るより明らかなのであるが、私はひとを激怒させることになるととたんに勤勉になる人間なので、とりあえずこういうことを書いてしまうのである。
合宿で今年の3月末にリタイアされたM田先生に「リタイア後の生活はいかがですか?」とうかがったら「毎日が夏休みです」と満面の笑みでお答えになった。
ここだけの話であるが(といっても毎日10000人以上が読んでいるのだが)、M田先生はものすごい「鼾」の人であった。
私は合宿でかれこれ15年ほどご一緒している。ずっと相部屋であった。
そのM田先生の鼾が猛烈だったのである。
私はむろん隣で寝ている人が多少の音響を出すくらいで不眠になるほどヤワな人間ではないが、それでも地面を揺るがすような響きがたまに停止すると、その静寂にびっくりして夜半に目覚めるということが何度かあった。
そのM田先生の鼾がもっとも壮絶であったのが、前回合宿で先生の四段審査が予定されていた日の前夜であった。
さすがの私も入眠に困難を覚えたほどの音量であった。
ところが、審査が無事に終了し、みんなで愉快に打ち上げたあと、部屋に戻ると先に戻って寝ているはずのM田先生の気配がしない。
怪しんで暗がりで目を凝らすと、なんとM田先生が赤ちゃんのようにかわいい寝息を立ててすやすや眠っているではないか。
審査の重圧から解放された先生は身じろぎもしないほど深い眠りのうち沈まれていたのである。
ということは、あの鼾はもしやメンタルストレスがもたらしたものでは・・・
しからば、リタイアされて「毎日が夏休み」となったM田先生の鼾状況はどうなるのであろうか。
私はこういうことになるとたいへん探求心が旺盛な人間であるので、わくわくしながら次の合宿での相部屋の夜の到来を待ったのである。
もちろん、私の仮説の正しさは検証された。
「毎日が夏休み」の心理的効果がかくも劇的なものとは思わなかった。
ということは、私もこのようにお気楽に生きているように見えるが、苛酷な心理的重圧を大気圧のように日々感じているということである。
その重圧がどんなものなのかは、なくなってみないとわからない。
養老先生によると「空の色が変わる」ほどの解放感だそうである。
「毎日が夏休み」になるまで、指折り数えてあと3年と5ヶ月。
生きてリタイアの日を迎えたいものだ。
そういえばそろそろ『村上春樹にご用心』が発売されるな・・・と思ってアマゾンをのぞいたら、文芸書で21位。
すごいね。
予約分でランクインしたのである。
都心の大型書店には昨日の夕方配本されたので、探してみてください。
それ以外のところは29日配本。
さすがムラカミ先生の「七光り」。コバンザメ商法恐るべし。
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