死の(というほどもないけど)ロード三日目。
このロードは中一日おいて、3日から8日まで続くので、今日が中日である。
昼近くまで寝て、田園都市線・半蔵門線乗り継いで神保町へ。
P社、AERA,角川書房の三社と打ち合わせ&取材。
P社はタカハシさんとの対談本の話。
この間録音を切ったあとの文学と言語の話がたいへん面白かった。
あれを録音しておかなかったことが悔やまれる。
もう二度ほどタカハシさんと文学の話をすればたぶん一冊分くらいになるはず。
仕事という口実があると、忙しいタカハシさんのところに遊びにおしかけることもできるし。
AERAは「地方出身者と都会派」の人間的力の違いという不思議なテーマについてコメント。
そういうスキームであまり考えたことがなかったけれど、「都会に住みたい」という人にはたぶんある種の傾向性があるんだろうなと思う。
よく都会生活者は「匿名性」を求めるというけれど、人間は完全な匿名では生きていけない(番号でもハンドルネームでも、何らかの名前は必要だ)。
都会生活者は「匿名性」というよりはむしろ人格の「単一性」にこだわりがあるのではあるまいか。
ネット上の議論では「実名暴露」による議論の打ち切りということが時折見られる。
複数のアイデンティティを持っていることはキャラクターの脆弱性であるということが暗黙のうちに了解されているわけである。
リスクヘッジの方法としては複数の人格をそのつど使い分ける方が有効であるはずだが、人格の複数性をコントロールする仕方はどこでも教えてくれない。
だから、自己防衛的に人格を複数化しようとすると、いきなり解離症状を呈してしまう。
その点では地縁血縁でつねに監視されているような狭い共同体にいる人間の方が、人格の使い分けに幼少期から長じるということがあるのではないか・・・というようなことを考える。
角川書店は春日先生との対談本の「発行祝い」ということで(春日先生は医局の集まりがあって残念ながら不参加)、広尾に「フカヒレ」を食べに行く。
ステーキのようなサイズのフカヒレをばりばり食べる。
一生分のフカヒレを食べたような気がする。
いろいろと仕事の約束をしているということを思い出させようとされるのであるが、残念なことにすべて失念している。
向こうは3人がかりで「たしかにあのとき先生は『では「文學界」の連載が終わったらやります』と断言しました!」と証言をなされるのであるが、こういう問題については多数決というようなことはまったく適用されないのである。
投稿者 uchida : 2005年08月06日 00:33
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.tatsuru.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1157
このリストは、次のエントリーを参照しています: ロードの中日:
» 平和祈念 お笑い憎悪発話(LeiさんとMariaさんの周辺で二度とお目にかかりたくないタイプの言葉たち) from ekblog
過ぎ去りしひと夏の思い出。振り返れば、破裂しそこなったクラスター・ボムにも似た、まがまがしい言葉の断片があちこちに散らばっている。そのいくつかを拾い集めて、適... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2005年08月06日 23:22
» 身体の言い分 from Shoulder.jp
内田樹先生の最新刊「身体の言い分」を読了する。内田先生のブログにもたまに登場す... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2005年08月07日 19:49
内田先生、はじめまして。eigerというハンドルネームを名乗る弱輩者です(地方出身者ですが、実名を明かした覆面ブログ書きとして発言を始めております)。数日前にもトラックバックをさせていただきましたが、今回も「匿名」というキーワードに目がとまって非礼をも顧ずしゃしゃり出たところ、よく読めば先生のメインテーマとは何の接点もありませんでした。どうやら、縁あって首を突っ込んでいる児童養護施設の問題を多くの方に知っていただきたいと逸る気持ちが、キーを滑らせてしまったようです。リンクを辿らなければ意味も分からない乱暴な駄文を書きなぐっており、さぞやご不快とは存じますが、お伝えしたい問題の社会性に鑑みて黙認をいただければ幸甚に存じます。盛夏の候、どうかお元気でご活躍下さい。
サイン・インを確認しました、 さん。コメントしてください。 (サイン・アウト)
(いままで、ここでコメントしたとがないときは、コメントを表示する前にこのウェブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)