合気道部・杖道会の合同新歓コンパ。
前期末の「連続宴会シリーズ」の第一弾(このあと、大学院ゼミ、3年生ゼミ、4年生ゼミと7月11日まで宴会が続く)。
引っ越ししてすぐあとの合気道の宴会のときは28人集まって、真夜中近くに全員で「クックロビン音頭」を踊ったりしたので階下の住人から猛然たる抗議があった。
「いったい、何人集まればあんな音がするのか!」と修辞的な問いをしてこられたので、「28人」と正直に答えたら、先方も絶句されていた。
ふつうの民家に28人が上がりこんで宴会をするということはあまりない。
これまでウチダ家で行われた宴会の参加人数最多記録は山手山荘で記録した32名である。
今回はなんとそれを5人上回る37人という大宴会となった。
3LDKのマンションによく入ったものである。
騒音を自制すべく、全員に「移動に際してはすり足」を厳命し、「踊り」も禁止(そういえば業平町のときは「ディスコ・ステップ大会」というのもやったな・・・)。
今回の一品持ち寄りお料理テーマは「元気の出る料理」(私はいつもの「水餃子」)。
今年の新入部員は合気道部が8名、杖道会が1名。
ふだんのロッジの稽古でさえ36畳の道場に20名を超えることがあって、もうたいへんである。
芦屋の道場の参加者も着実に増えているし、合気道の方はたいへん結構なのであるが、杖道を始める人が少ないのが残念。
剣と杖の使い方をきちんと習っておくと、体術は飛躍的にうまくなるのだけれどね。
日曜はさすがに疲れて半日死に寝。
夕方起き出して、『ミーツ』最終回の原稿を送稿。これで『続・街場の現代思想』は終了。
毎日新聞の1ヶ月連載エッセイも終わったので、ひさしぶりに「連載締め切り」というものと無縁になる。やれやれ。ありがたや。
ついでに『東京ファイティング・キッズ』の「あとがき」を「まえがき」をさくさくと書く。
原稿を書いているうちに空腹となり、冷蔵庫をあけると、みんなが放置していった食材がいろいろあるので、それをどんどん食べる。
『街場の現代思想』の見本版が届いたので、ぱらぱらと読む。
なかなか洒落た装幀である。
本になったのを読むとまたゲラのときとは違う感じで、面白い。
ところが、あっと驚く誤植を発見して、顔面蒼白となる。
183頁
「『強く念じたことは必ず実現する』という合気道のお師匠さんの多田宏先生のお言葉を励みとして・・・」
というところである。
これは再校までは「『強く念じたことは必ず実現する』という多田先生のお言葉を励みとして・・・」となっていた。
それで校了したあと、編集のミシマくんから電話があって、「ここで急に『多田先生』という固有名詞が出てくるので、読者のために少し説明を入れていただけませんか」と言ってきた。
なるほどそうかもしれないと思い、「では、『合気道のお師匠さまの』と入れておいてください」と電話口で返事をしたのである。
それを彼は「合気道のお師匠さんの」と聞き違えて、そう印刷してしまったのである。
えらいことである。
「お師匠さま」と「お師匠さん」はまるでニュアンスが違う。
ご主人さま」と「ご主人さん」、「旦那さま」と「旦那さん」、「お殿さま」と「お殿さん」は意味が違う。
「さま」は敬語だが、「さん」はしばしば貶下的・嘲弄的なニュアンスをともなっている。
「ご主人さま」という敬語は主従関係の中で用いられ、「ご主人さん」というのは、その主従関係と無縁な第三者が口にするものである。
「ご主人さま、お呼びでしょうか?」と言うのは使用人であり、「おたくのご主人さん、しわい人やね」というふうに言えるのは無縁の人である。
多田先生は私の師匠である。
「多田先生って、ウチダくんのお師匠さんなの?」
「はい、私のお師匠さまです」
というふうに直接師弟関係にあるかないかの立場の違いがこの「ん」と「ま」のあいだには記号的に表象されているのである。
そうであれば、私が多田先生を第三者のように、「お師匠さん」と呼ぶはずがないではないか。
師に対して、このような呼称を使う人間であると思われたら、私の武道家としての見識が疑われてしまう(私のそのほかの人格的諸要素については「見識を疑われる」ことはすこしも気にならないが、これだけは困る)。
顔面蒼白となったあと、「こ、これは印刷やり直しせねば!」と立ち上がったが、頭を冷やしてかんがえると、いくらニュアンスの差を私が力説しても、出版社サイドは「ん」と「ま」の違いなんてどうだっていいじゃですか、重版のときに直しとけばいいでしょ?と相手にしてくれまい。
7月1日配本だから、本はもうとっくに刷り上がっている。
いまさら「ん」じゃダメ、全部廃棄しろというのもずいぶんと環境破壊的なふるまいだし、電話口で「じゃあ、あとは任せました」と言って、最終的な文字稿のチェックをしなかった私自身の責任はいずれにせよまぬかれられない。
というわけですので、この場を借りて、全国の『街場の現代思想』ご購入予定のみなさまに「正誤表」をアナウンスさせていただきます。
183頁10行目、「お師匠さん」は「お師匠さま」にご訂正ください。
ぜったいに訂正してくださいね!
それから、だいぶ旧聞に属しますけれど、このホームページのカウンターで100万人目と100万1人目に当たったお二人の方。ご連絡を頂いたときに、「次の本が出たら、サイン本をお送りします」とご返事を差し上げたと思います。お送りしますので、お手数ですけれど、メールでもう一度送付先のご住所をお知らせ願えますか?
投稿者 uchida : 2004年06月28日 14:54
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いつも愛読させていただいています。我が家は亭主がやはり大学教員、私も非常勤という夫婦なのですが、毎夏「ふつうの民家」の我が家に教え子、卒業生が30人以上集まります。間取りで言えば2LDKなのですが、家を設計するときリビングは広くとって、いずれ分割して子供部屋か私の個室になるはずだったのに、亭主が年1回の宴会のために、リビングを二分することをかたく拒んでいて困っています。
ところで「お師匠さま」「お師匠さん」についてですが、この際「師匠」というのが、なんだか伝統芸能っぽくって、なおかつ威厳もありそうでいいのではないか、などと考えてしまいました。(誤植もなさそうですし。)失礼しました!
投稿者 たまま : 2004年06月28日 21:34
内田先生、こんにちは。
一昨年くらいから著作を読ませて頂いております、こと(26歳・靴屋・映画好き)と申します。いつもこっそり覗いていたのですが,クックロビン音頭がツボにきたので初書き込みいたします(もちろんいつも「ツボ」なのですが・・・)。
私は子供の頃学校でクックロビン音頭を踊ったら誰一人として知らなくてえらいこと気まずい思いをしたのですが、先生の日記にある28人の踊る方々は全員もともと踊れたのか、誰かがその場で皆様にレクチャーしたのか、ということがとても気になります・・・。「Oタリロ」ってそんなにマイナーなマンガではないと思うのですが身の回りに読んでいた人間が全くいないのです。
28人でクックロビン音頭というのは素敵ですね・・・まざりたい。
あと対抗してどうする、ということなのですが私は昔六畳一間で22人の宴会をしたことがあります。名目は餃子友の会(自作餃子250個!!やはり水餃子です)で、ヒトが玄関までまけ出ていました。人口密度の点では「勝った」と思うのですがどうでしょう?
アホなことにばかり反応してすみません…。これからも日記楽しみにしています!
投稿者 こと : 2004年06月29日 17:33
クックロビン音頭の愛好者がいらしたとはうれしい限りです。
私どもの宴会では、途中でお帰りになられる方を送るときに、全員が「だーれがころしたクックロビン!はい!」を「ドドンパ」のステップで踊るということがだいぶ以前から慣習となっております。
どうして『パタリロ』の「クックロビン音頭」が「お別れの歌」採択されたのか、最初に踊ったときからしてすでに全員酩酊状態でしたので、由来は定かではありませんが、おぼろげながらウッキーが音頭取りであったかに記憶しております。
まず「あ、ちゃちゃんが、ちゃん。あ、ちゃちゃんが、ちゃん」という「お囃子」が入って、そのあと延々と「だーれがころした・・・」というリフレインを繰り返すという趣向のものであります。
ぜひ、日本全国の宴会でクックロビン音頭が採択されることを祈念いたしております。
6畳に22人はすごいですね。
人口密度的にはあなたの勝ちです!
投稿者 うちだ : 2004年06月29日 23:32
あまりの懐かしさに、この2,3日パタリロの絵図らとクックッロビン音頭が頭の中でグルグルしてます。私は、せんだっての光岡先生の講習会後懇親会に参加させていただきましたが、都合でいちはやくお暇してしまいました。ああ、ちゃちゃんが、ちゃん・・・を背中に聞いてみたかったです。
投稿者 みと : 2004年06月30日 08:26
正確には、「あ、パパンがパン」だったと思います。すいませんコマカイつっこみで・・・。
投稿者 みと : 2004年06月30日 09:09
『街場の…』、先般たまたま紀伊国屋に立ち寄った際、
つい現物を見かけて買ってしまいました。
実は「お師匠さん問題」があったため、
ウチダ師書籍に関する初版主義を継続するか否か、
けっこうマジで悩んでいたのであります。
結果、初版の価値に贖うことができず。
件のページは、このHPでの修正がなければ確かに、
「内田先生、なんだかんだいっても多田先生のことを、
けっこうフランクに扱っていらっしゃるのね」と
思っていたことでしょう。
この辺のニュアンス、若い人たちには、
どんどんわかりにくくなっているのでしょうね。
投稿者 こーちゃん : 2004年07月13日 18:39
「お師匠さん」問題に気がついて、
先日慌てていちばん近所のジュンク堂へと走りました。
183ページの10行目の記念すべき(?)誤植に出会えました!
うかがえば、限定6000部だそうです。(初版6000部ってことですが)。
昨日が全国的な発売日。
かなりおもしろいです。
売れ行きや如何に!
投稿者 うっきー : 2004年07月13日 22:33
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