夢の合気道合宿

2009-09-24 jeudi

19日土曜日から日記の更新をしていなかった。
忙しかったのである。
忙しかったと言っても「楽しいイベント」であるが。
19日は合気道の稽古のあと、夕方から京都オークラホテルで養老孟司先生と対談。
養老先生とお話ししていると脳が暴走しはじめてくる。
私がしたのは、ハリウッドバカ映画に見るアメリカのセルフイメージの変化の話。
ご案内のとおり、ハリウッドのヒーロー映画の主人公が「悪と戦う」説話構造はアメリカそのものの国際社会におけるセルフイメージを映し出している。
最近のこの手の映画で出色の出来のものは『ウォッチメン』。
自分はヒーローだと思っている人間が実は諸悪の根源で、世界に秩序をもたらしているつもりで、世界を破滅に導いているというストーリーはアメリカの自意識がかなり健全の機能していることを証示している。
「ベスト・アンド・ブライテスト」こそがアメリカを危機に陥れているリスク・ファクターであるという物語構造はこの20年くらいほとんど定番化している。
それに代わるヒーロー像が興味深い。
「できることからこつこつと」足元のゴミを拾う「どぶさらい」型の人なのである。
「トラブルを一気に解決」型のソリューションに対するひそやかな不信がこのような人物造型に反映しているように私には思われるのである。
養老先生とは11月8日に京都国際マンガミュージアムで対談をすることになった。
お題はもちろん「マンガ」である。
詳細がきまりましたら、またブログのイベント欄で告知しますね。

日曜日は朝から原稿書き。夕方から六甲アイランドで、大倉源次郎先生の会で『安達原』をやるのでヨメに連れられて見に行く。
終わってから先生方に楽屋でご挨拶する。帰りに住吉の吉芳でラーメンと唐揚げと餃子を食す。

月曜から水曜までは合気道の秋季合宿。いつもの神鍋高原。
観光バスを仕立てて、遠足気分ででかけたのはよいのだが、これがシルバーウィークの中日で、高速道路1000円デ―。
行きの阪神高速の入り口からすでに渋滞。名谷まで延々と大渋滞、ほとんど車はそこから明石海峡大橋を通って淡路島へ分岐する。
おそらくは四国うどんツァーに向かう人々と推定される(これだけの胃袋を香川、徳島のうどん在庫が満たしうるのであろうか、心配)。
うどんツァーの諸君と別れてやれやれと思ったのもつかのま、日ごろはがらがらの播但道も大渋滞。
いつも「黒豆ソフト」を食べる朝来SAも車が駐車場からあふれていて停車できず。
和田山で降りたときにはすでに稽古開始予定時刻の2時を回っていた。
しかし、いったいこの民族大移動的な自動車の列はどこへ向かっているのであろうか。
まさかみなさん出石にそばを食いにゆくわけではあるまいに。
やむなく、近場のコンビニに緊急停車して、コンビニご飯で車中飯。
2時間半おくれて現地着。
さっそく稽古の支度にかかるが、またもトラブル発生。
畳にガラス破片が散乱していたのである。
畳を運んでいる私が手を切って、そこで畳についていた白い破片がゴミではなくて、ガラス破片であることに気づくという粗忽な話であるが、まさか畳にガラスをつけたまま積み上げておくような非常識な使用団体があるとは思わなかった。
直前にこの畳を使ったのは京都の某大学の合気道部である。
ガラス窓を割ったということだけは宿の人に申告したようだが、ガラスの破片を畳に散らしたまま掃除せずに帰ったのである。
かつて武道家の心得を多田先生のお伺いしたとき、先生は「照顧脚下」と即答された。
「足元を見よ」と。
足元を見ずに帰った諸君は武道家としての資格が自分にあるかどうか熟慮願いたい。
ガラス破片拾いでずいぶん時間が遅れてしまったが、さいわい切り傷は二人だけで済んだ。
二日目午後に審査。
“社長” が三段、キヨエさんが二段、ババさん、ムカイさん、タカハシさんが入段、晴れて栄光のブラックベルツ入りを果たした。
みなさん、おめでとう。さらなる精進を期す。
1級にタハラさん、ハシモトさん。二人は来春のブラックベルツ入りめざしてがんばってもらいたい。
オカヤマさんとサキヤマカナコが2級。
“会長” とユアサくんが4級。
ハヤカワさん、ヤナガワさん、サカグチさん、タナカさん、タカミーはこれでザ・ハカマーズ入り。
“社長” の昇段で三段の人数がだいぶ増えたので、三段取得者を今後「スリーディグリーズ」と呼称することに勝手に決定。
別に名前があるだけで何をするわけでもないが、まあ、そういうことである。
四段昇段者もこれからクラブ化することにした。
クラブ名は「ザ・ディグレッションズ」
別に他意はないが、「ザ・プレコンセプションズ」よりは言いやすい。
例によって、稽古、風呂、飯、酒、寝る、風呂、稽古、風呂、飯、寝る、稽古、風呂、飯、酒、寝る、風呂、稽古、飯、寝る、稽古、風呂、飯というシンプルな二泊三日で、全員ニルヴァーナ状態となって帰途に就く。
帰りはどういうわけか播但道も山陽道もからからに空いていて、2時間半ほどで三宮着。
合宿のあれこれを仕切っていただいた、事務局のキヨエさん、タニオさんに感謝です。
ウッキー、バスガイドありがとう。オカヤマも「しおり」作ってくれてありがとね。
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