激闘! 西新宿

2008-02-08 vendredi

あまりに忙しくて日記を更新している暇がない。
ふひ〜。
とりあえず備忘のために今週の出来事をメモしておく。
5日は岡山に行った(この話は書いたな)。6日は甲野先生の集中講義の最終回なので、最初から最後まで受講。
甲野先生の授業は講習会と同じように、あっちでごろごろこっちでごろごろとみんなが習ったことをそれぞれに練習している。わからないで困っていると、先生か陽紀さんか今回のアシスタント北川くんが手助けしてくれる。
私は杖の型を習ったので、それをお稽古する。
ときどき「重い人を持ち上げてみたい」というニーズに応じて、介護技術の「重し」役として、学生たちに持ち上げられる仕事もする。
うら若い女性にぎうっと抱き締められて空中に「だっこ」してもらう役なので、見ようによっては「いかがなものか」というご批判もあろうやもしれぬが、そんなことを言われても困る。
講義が終わって、宴会部長ウッキーに率いられて、ぞろぞろと打ち上げへ。
甲野先生も三日の講義が終わってほっとしたらしく、いろいろと武道関係・霊術関係の「ここだけの」話をしてくださる。
内容はあまりに差し障りがあるので、一言とて公開できないのが残念であるが、どうして甲野先生はあんなに「アンダーワールド」のことにお詳しいのであろう。
その日が誕生日の甲野先生のタクシーを学生たちと「ハッピーバースデー」の歌で西宮北口駅頭でお送りする。

七日から死のロード。
初日は東京で仕事が三つ。
まず新宿のアシュラムノバへ伺って、池上先生に身体の歪みを調整して頂く。
左の膝がこのところぴりぴり痛んでいたのだけれど、だいぶ体軸が右にねじれていたらしい。
先生に触ってもらったら、すうっと痛みが引く。
元気を取り直して、まず東京都庁へ。
なんの講演かよく知らないで行ったら(それもどうかと思うが)、東京都青少年問題協議会の専門部会というところの「ヒアリング」にお招き頂いたのである。
教育問題専門の委員のみなさんにぐるりと囲まれてようやく、これはえらいことになったと気づく。
議長は早稲田の加藤諦三教授、委員は増田美香、三坂彰彦、宮台眞司、村松励、内山絢子、大葉ナナコ、小島貴子、近藤彰彦、篠崎武久、西村和義のみなさん。それに「東京都青少年・治安対策本部」のお歴々である。
宮台眞司さんとこのようなところでお初にお目にかかるとは思っていなかった。
それにしても私のような人間をこういう席にお呼びくださるとはまことに都庁も太っ腹である。
ご期待に添うべく「青少年の非社会化」というお題で 1 時間ほど自説を語る。
委員のみなさんは好意的なリアクションであったが、当然ながら(まあ筆禍というのはこういうところで清算を強いられるのだが)宮台さんからはにこやかだが手厳しい質疑がなされた。
私も精一杯にこやかにお答えをする。
宮台さんは終始紳士的なうちにも果敢に追撃の手を緩めない。となると私もだんだんにわか紳士の体面を維持するのが困難となり、やがて「がるる」と唸り声とあげて凶悪な本性が露出しかけたところで、議長の加藤先生がイエローカードを掲げて「はい、そこまで。そろそろ内田先生も新幹線の時間があるそうですので」とホイッスルを吹いてノーサイドとなった。
聴衆のみなさんは「いやあ、ハブとマングースの戦いみたいだったね」とひそかに喜ばれたことであろう。
もしかするとそれを見たくて神戸からわざわざ私を呼んだのかも知れない。
がっくり疲れて東京駅へ。

丸善で某テレビ局と談合ならびに「アサヒ芸能」の取材。
時間をまちがえて 18 時にダブルブッキングしてしまう。
テレビは某ニュース番組のコメンテイターのお話。
サラリーマンなので、レギュラー出演はできませんとお断りする。
「アサヒ芸能」は『ひとりでは・・・』の紹介記事。
他者といかに共生するかという問題について小一時間しゃべりまくる。
丸の内の東京駅前でばしばし写真を撮られてから、小走りに新幹線に飛び乗って、「深川めし」とビールでほっと一息。
ジグムント・バウマンの『コミュニティ』を読んでいるうちに爆睡。

明けて8日は終日会議デー。
早起きして、ねぼけまなこで本日締め切りの毎日新聞の原稿を書き飛ばす。
野沢菜おやきを囓りながら大学へ。
朝から入試委員会、精神保健福祉士連絡会、合否判定教授会、科別教授会。そのあいまにレポートを読んで添削して、CLAにメールを打って、手紙を二本書いて、宅急便を一個出して、シラバスを一本書いて、10通ほどのメールに返信する。
教授会の席で学長から「上野千鶴子さんとの対談をぜひ引き受けてください」と頼まれる。
業務命令にはいつも粛々と従うウチダであるが、「この件ばかりはひらにご容赦」とお断りする。
こっちは前日に「マングースに頭を囓られるハブの切なさ」を味わったばかりなんだから。
読み切れなかったレポートを抱えて、よれよれになって帰宅。
明日から「死のロード」第二弾である。
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